アウトソーシングは身近な、そしてどんな企業体でもできる経営改善、改革の手段です。しかし身近であるからこそ、準備が肝心です。アウトソーシングの検討、形態選択、プロセス、想定効果の設定など必要な準備を順番に紹介していきます。また、今後のアウトソーシングのトレンドを探ります。
目次
アウトソーシングを考え始めた段階でいきなり見積もり、選定に移ってはいませんか?アウトソーシングは身近な経営改革です。身近であるがゆえに準備がとても大切なのです。
アウトソーシングを検討する際、まず初めに考えるべき事項は「その業務はアウトソーシングするべきなのか」です。簡単に言ってしまえばその業務は会社の「コアビジネス」、もしくはそれに類するものに当たらないか考えてみましょう。
業務がコアビジネスには当たら無いと判断し、アウトソーシングをする決断をしたら、その形態を考えていきましょう。依頼する形態は主に4つに分けられ、依頼する内容と種類の多さで変わってきます。
ここで判断基準となるのは、アウトソーサーに依頼する業務の範囲です。対象となる業務を一覧化して、その種類や内容を吟味して判断を下します。一覧化するのは手間がかかりますが、大雑把にでも把握しておく必要があります。
適切な形態を選択できることで、この後のプロセス作成、想定効果の設定、さらにはアウトソーサー選定もスムーズに進めることができます。
依頼をする業務範囲と形態が決まったら、指示プロセスを作成してみましょう。
プロセスがあると外注先の見積もりがより正確になる上、打ち合わせもスムーズに進みやすくなります。上記アウトソーシング形態で言えば、3と4の形態で特に重要になってきます。指示系統の一本化はもちろん、問題が起きた際の報告、連絡系統も設計しておくことは、トラブルを未然に防ぐことにつながります。
さらに作成する際に、必ず社内の人間に情報が伝わるため、事前に社内ヒアリングができ、調整できることは済ませてしまうことができるのも一つの利点です。指示系統、業務依頼の流れを見える化することで、問題点を社内で指摘しあうことができ、業務が始まるときのトラブルも防げます。
この段階で作成するのは早いと思われるかもしれませんが、叩き台をこの段階で作っておくことで、後々のステップが明らかになるので是非やっておきましょう。
指示プロセス作成とあわせてやっておきたいのは、想定効果の設定です。
アウトソーシングをするに当たって、どのくらいのコスト削減、効率アップなどが見込め、最終的にどのような価値があるのかを検討します。
アウトソーシングをする際、一番目に付きやすいところでもあるため、真っ先に検討される企業も多いでしょう。もちろん、実際の外注先の見積もりを見てみるまでは正確な金額や作業時間が分からないため、見積もりを先にとってしまおうと考えてしまいがちです。
しかし、社内でアウトソーシングの評価対象やその優先順位を設定しておく前に見積もりを取ってしまうと、目の前の金額やサービス内容に目がいってしまい、会社にとって何が必要なのかを見逃してしまうことになります。
コスト削減第一なのか、サービスの充実に重点を置くのか、事前に決めてから、外注先の選定に移りましょう。
上記までは、従来型のアウトソーシングの一般的な事前準備について触れてきましたが、今後のアウトソーシングのトレンドとしては、より簡易的なアウトソーシングであるクラウドソーシングにも注目が集まっています。「社内に必要なスキルがない場合」や、コア業務に集中するために「ちょっとした仕事を依頼する場合」などを、在宅での仕事を希望するフリーランスの方などにWeb上で仕事が依頼できる仕組みです。
企業がクラウドソーシングを導入するメリットとしては、今まで接点を持つことのできなかったスキルを持つ人材にWebを通じて出会うことができ、仕事の依頼が可能となります。子育て中の主婦の方、地方在住や海外在住で、通勤ができないがために、お仕事をすることができない方、など、今まで以上に人材活用の幅が広がっていくといえるでしょう。また、クラウドソーシングの利用方法を見ていると、トライアルとして小さな業務を依頼し、その後一定スキル以上をお持ちであると判断できた場合に継続して業務を依頼していくことが多い傾向にあります。「まずは少しお願いしてみる」という新しいアウトソーシングが今後の新しいトレンドとなっていくでしょう。