現在、消費の購買行動は商店街や百貨店・スーパーがメイン。しかし現在はAmazon・WEBサイト・アプリ等のスマホ完結型が多い為、消費行動がオンラインへスイッチしています。特にコロナ禍以降は在宅が増えており、オンラインマーケティングへシフトする傾向が強くなっているようです。
消費行動の変化に伴いマーケティングも変化しています。消費者との接点は雑誌や新聞・ラジオ・テレビ等のオフラインが主流でしたが、現在はGoogleマップの口コミ・SNS・WEB広告・アプリ内でのリーチがメインで、特にInstagram・TikTok等の動画系SNSがオンラインマーケティングにおいて有効な情報発信として注目されていると言われています。
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認知度が高いSNSとして、Facebook・Twitter・YouTube・Instagram・TikTokなどが挙げられますが、奥野氏はそれぞれユーザー属性やコンテンツの方向性が違うため、自社に合うSNSを検討する必要がある、と語ります。SNSを利用しにくいご年配者向けの商材やニッチ性が高い商材は、動画マーケティングにおいて苦戦する事が多い一方、SNSと身近なデジタル世代向けの商材や、単価がリーズナブル、もしくは高単価であっても美容・整形などのコンプレックス商材は動画マーケティングと相性が良いそうです。特にSNSにおける動画コンテンツは、写真やテキストと比較し滞在時間が長い傾向があり、かつ最近の消費者の消費行動とも相性が良いようです。
例えばロート製薬社では、若手社員がTikTokを用いた動画マーケティングを行っており、「あの大手企業のロート製薬が」という意外性が話題を呼び、SNSで拡散・認知度向上に繋がっていると言われています。企業の大小・業界といった固定概念に囚われず、いかに柔軟な考え方を持って取り組めるかが動画マーケティングを成功させる近道のようです。
動画マーケティングの活用はBtoCビジネスが注目されがちですが、BtoBビジネスにおいても活用できます。例えば、スーパーのデジタルサイネージなどコンテンツ配信のプラットフォームが増えており、あらゆる企業が何かしらのプラットフォームにフィットするという事です。様々なプラットフォームを上手く活用出来れば、BtoBビジネスにおいても動画マーケティングは有効だと、奥野氏は語ります。
奥野氏が支援したマンツーマンの英会話教室を展開する企業では、 TikTokのフォロワーが 1年弱で0人から3万人弱まで増加し、再生数においても150万再生という驚異的な数字をたたき出しました。では、なぜ手法としてTikTokを選定したのでしょうか。
FacebookやTwitterはユーザーへの認知の時間がかかり、今のアルゴリズムだとターゲットユーザーにリーチさせることが難しい。また、Youtubeの英会話領域はレッドオーシャンであり、競合アカウントが多く競合優位性が見出せない為、まずはTikTokとInstagramを始める事にした。(奥野氏)
動画マーケティングにあたり、コンテンツを載せるSNS選定においては、相性以外にも、競合の介入状況などの要因分析も必要なようです。
次にコンテンツ作成における成功のポイントは一体どこにあったのでしょうか。今回の場合、コンテンツを視聴するユーザーは、
に分けられ、後者に刺さるコンテンツをいかに出せるかが明暗を分けるポイントだったようです。
「こういったサービスを出しているので、是非使ってください」という動画コンテンツもあるが、これはユーザーに対して情報を押し付けている状態だ(奥野氏)
自社が狙いたいユーザーが求める動画コンテンツは何か、競合はどのような動画コンテンツを出しているのかを分析・蓄積・配信・摺合せを繰り返す事が重要だと言いいます。この作業を繰り返せば、どのような企業でもある程度数字が見込めるようです。
一概に「動画コンテンツ」と言えども、事業や製品説明メインの堅い動画から、エンタメ要素を入れた動画など、動画コンテンツの方向性は多岐にわたります。では、どのような動画コンテンツが良いのでしょうか?
これを導き出す為には、まず相対的に評価できるデータを社内に貯めることが必要だと奥野氏は語ります。例えば、
これらの共通項を組み合わせて新しいコンテンツを作り続ければ、どの業界でも動画マーケティングの数字は延ばす事が出来るようです。
InstagramやTikTokは、数字で跳ね返ってきやすい。つまり、再生回数・シェアや保存回数を見ればその動画コンテンツがユーザーに求められているか一目瞭然。数字が伸びない=ユーザーに求められていない=企業による情報の押し付け、となっている状態(奥野氏)
何故このような状態に陥ってしまうのでしょうか。問題点は2つあるようです。
前半の問題点については、以下のような対策をとると良いとの事です。
後半の問題点については、SNSのハッシュタグやユーザー属性のチューニングを行い、微調整を行えば改善されるようです。
奥野氏は、自分たちが伝えたい情報は必ずしもユーザーが求めているとは限らないため、どう表現を変えればユーザーの興味を惹くことができるのかという観点で、動画コンテンツを作成する事が重要だと語ります。例えば、先ほどの英会話教室サービスの事例では、普段の生活で使える英会話のワンフレーズ等を投稿しましたが、「新規顧客を開拓したい」という目的に相反し新規ユーザーに中々リーチが出来なかったようです。対策として、それまでの動画コンテンツの要素分解を進めました。
結果として分かった事は、「英語のネイティブスピーカーが、日本に来た時に驚いた事」など、比較的カジュアルコンテンツの方が、再生数が多かったようです。以降は、知識系といった堅い動画コンテンツではなく、もっと気軽に英会話を知ってもらう為の動画コンテンツを作ろう、と方向性が変わったそうです。
過去に奥野氏によって再生回数を一気に150万回を突破させた動画コンテンツについては、登場人物を二人にしてエンタメ要素を含めたかけあいを発生させ、ユーザーがより動画へ没入させるようにした事が再生増加に影響したのではないか、と奥野氏は分析します。
二人のファンが育成される事でフォロワーが増え、結果、「この二人に習いたい!」という問い合わせが増えたそうです。動画マーケティングにおいて「良いコンテンツは良いコミュニケーションを作り、良いコミュニケーションは良いコミュニテイを作る」という鉄則がありますが、まさに鉄則通り、同動画には1,000件のコメントが寄せられるほどに盛り上がったといいます。
野氏によると、まずはターゲットユーザーがそもそもSNS上に存在するのかを確認する事、そして存在するならば、そのユーザーはどのようなコンテンツを好むのかを分析・理解することが何より大切だと言います。次に競合他社の動画コンテンツをチェックする事で、最適なSNS媒体の選定、最適な動画コンテンツの内容を分析することができるそうです。
また、失敗事例も踏まえてチューニングする事も大切です。例えば奥野氏は、過去に料理動画コンテンツとして新しく「魚介系」を制作したところ、全く数字が伸びなかったと言います。「魚介系」はSNS上ではあまり好まれないという事がわかり、同じ失敗を繰り返さない為にも「魚介系」の動画コンテンツは中止しました。
最後に奥野氏はこう締めくくりました。
まずスタートする際には、SNSアカウントと動画コンテンツが必要となる。運用を自社で行うのか外注するか、また、どんな動画コンテンツに取り組むのか、コスト・目標数値・最終的なKPI等も全て考えた上で、運用する価値があると判断できれば、まずは試験的に挑戦してみてはいかがだろうか。もし的確な判断が難しい場合は、我々のような動画マーケティングの専門家にアドバイスを求めるのも一つの選択肢として考えてみてはいかがだろうか。(奥野氏)