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新規事業開発とは?進め方や成功のポイント、必要なスキルを解説

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変化が激しい現代において、企業の新規事業開発は重要です。従来のビジネスモデルに頼り切りでなく、変化の中で多様化するニーズを察知して自社の強みを反映させると効果的かつ新たな事業展開が可能です。新規事業開発は新規顧客の獲得や企業の社会的地位向上に寄与するメリットもあります

しかし、新規事業開発はコストと労力がかかる上に、見通しが立たないことから踏み出せない経営者の方もいるでしょう。当記事では今後新規事業開発を検討する経営者やリーダー向けに必要なスキルやマインドセット、具体的な手法を解説します。

新規事業開発とは

new business development

新規事業開発は自社であらたなビジネスを立ち上げることを指します。いままでに経験したことがない領域で挑戦するため、大きな労力と費用がかかります。既存事業で培ったノウハウだけで立ち上げられないため課題が多く、難易度が高いチャレンジといえるでしょう。

新規事業開発はやみくもにスタートしても成果が期待できません。多様化する消費者ニーズを逐一察知し、求められるタイミングや流れに乗りながら確実に準備を進めましょう。

新規事業開発の進め方

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こちらでは新規事業開発の進め方を7つのステップで解説します。

目的・ゴールの設定

はじめに新規事業開発の目的とゴールを明確にしましょう。具体的であればあるほど逆算して必要なアクションを構築しやすいため数値や獲得したい層などを決定します。また、目的やゴールが決定したら適切なタイミングで社内全体に共有します。経営層だけでなく、現場の従業員まで周知し、共通認識の中で動けるような状態を整えましょう。

社内体制の構築

次に社内体制を固めましょう。新規事業開発にどのような人材が求められるかを検討し、適切な人材を招集します。自社で人員が補える場合は異動調整済みますが、専門領域への知見が求められる場合は新たに求人を行います。スタート時の人材選定には時間を要し、かつ離脱する者も考えられるためスケジューリングにはゆとりを持ちましょう。

なお、既存の人材から選抜する場合は部署内で残された従業員フォローも欠かせません。

情報収集・分析

社内体制が固まってきたら次は情報収集やデータ分析を行います。今から着手するビジネスにどのようなニーズがあるかを把握して次のアクションを決定します。

もしも市場規模やニーズにそぐわない事業を展開した場合、負債が残り発展は見られません。情報収集と的確な分析を行い狙いを定めて行動に移しましょう。

ターゲットの明確化

分析を進めるとターゲットが定まってきます。浮き彫りになったターゲットと自社の構想をかけあわせてターゲットを明確化します。

なお、ターゲットもゴール同様に具体性を持たせましょう。たとえばBtoBの場合は「40代後半で営業部門の決裁権を持つ人がターゲット。ただし、大企業のため最終的な予算管理は上部で行っている会社向け」など、ターゲットの属性や行動が見えるように設定しましょう。

アイデアの創出

ターゲットが定まったら具体的なアイデアを創出します。新規事業開発は社内にない取り組みのためアイデア創出がもっとも重要なプロセスです。具体的には競合が提供するサービスや商品を元に自社の強みを取り入れて価値を創出します。

ただし、あまりにも現実味がないアイデアは避けましょう。実際にプロジェクトを立ち上げてから頓挫する可能性があります。アイデアの採用は「競合と同じベースをやや超える」程度が基準です。

アイデアの具体化・要件定義

次にアイデアを実現できるプランに落とし込みます。具体的には事業計画書を作成して定量的な目標を定めます。なお、プランを組む際は変化やトラブルに対して柔軟に対応できるよういくつも対策を検討します。

原材料が不足した場合のフローや、販売店舗数が確保できなかった場合の対応など、イレギュラーへのリスク管理も不可欠です。

検証と改善

事業がスタートしたあとは検証と改善が求められます。新規事業開発は伸びしろが多い分、改善も多く必要なため日々データを検証し、改善策を打ち出しましょう。なお、スタートから完璧な状態を目指すと経営層も現場の従業員も疲弊します。まずは必要最低限の状態を整えて行動を起こし、日々改善を行いましょう。

「新規事業の立ち上げを成功に導くプロセスとは?について」詳しくはこちら>>

新規事業開発を成功させるためのポイント

Key points for successful new business development

ここからは新規事業開発を成功に導くポイントを3つ紹介します。従来の事業の良さを活かしながらも新たな視点やアクションが求められます。

情報共有の徹底

まずは新規事業開発の情報は企業全体で認識し、多くの従業員に自分事として捉えてもらいましょう。既存事業の従業員にとっては遠い話に聞こえますが会社の存続や成長に直結するため理解が必要です。また、既存部署から人員を確保する場合はより情報共有が必要です。

また、こまめな情報共有は進捗確認の意味合いも兼ねています。既存部署の従業員から「新規事業に行ったけど進捗はどう?」と聞かれると、プロジェクト進行の正常化やチームモチベーション維持にもつながります。

既存事業とは別の枠組みで運営する

情報共有が重要である反面、既存の思考や枠組みにとらわれない意識も重要です。事業自体は企業の予算内で行われるため、既存事業をベースに評価・決定されがちですが凝り固まった考えは新規事業の成功を阻害する可能性もあります。

新規事業の評価においては、従来の評価基準でなく特性にマッチしたものを反映させましょう。企業内で捻出できる予算は決まっていますが柔軟性をもたせるマインドセットが欠かせません。

専門家の活用

新規事業開発はまったく異なる領域で展開するケースが多くあります。そのため、専門的な知識やノウハウが必要となる場面もあるでしょう。自社にノウハウがない場合は専門人材のスポット採用も検討しましょう。一定期間外部の人材を登用したりツールを導入したりすると新規事業開発の立案から開始までがスムーズです。

新規事業開発に必要なスキル

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ここからは新規事業開発に求められる6つのスキルを紹介します。経営層に求められる基本的なスキルから新規事業ならではのものもあります。

情報収集・分析力

第一に、新規事業開発に携わる人全員が情報収集・分析のスキルを身につけましょう。新規事業においては、市場や消費者ニーズ、競合他社の動向や必要となる技術など、多面的かつ膨大な情報を集めて分析が行われます。近年、情報はネット上に溢れている反面、玉石混交で誤判断を招くものもあります。多くの情報から正しい情報を選びぬき、分析する力が必要です。

論理的思考

論理的思考もまた新規事業開発には欠かせません。新規事業開発では、結果がない中で情報収集や統計分析、仮説立案・検証を行います。ゼロから正しい道筋を辿るにはデータや根拠に基づく論理的な思考が必要です。事象を定量・定性的な情報から判断することで、発言やアイデアに対し説得力が出るため説明責任も果たしやすいメリットもあります。

プレゼン力

いくら革新的なアイデアを作り出せたとしても、事業プランとして説得力がなければ実行は不可能です。自身の頭の中にあるアイデアに現実性を持たせ、適切な提案ができるプレゼン能力が求められます。具体的には、自分のアイデアが成功する根拠がどこにあるかや、採用することで企業が得られる成果やメリットを言語化します。また、発言の際には視覚的に理解を促す資料を提供し、かつ人間性をもって伝える力が必要です。

プレゼン力にはロジカルな思考だけでなく、相手の立場や会社の現状を慮った人間力も求められます。

組織構築・マネジメント力

新規事業開発を牽引する場合、組織を構築してまとめ上げる力が必要です。新規事業はメンバーがお互いに探り合いながらプロジェクトを進めます。そのため、率いる側の人間がリーダーシップを発揮し、さまざまな関係者が円滑に連携をとれる状態を整えます。

大枠を経営層が固め、リーダーシップを発揮しながらも各現場が事業を継続できるよう自立を促すバランスが必要です。事業の継続には現場の従業員が欠かせません。いつまでも経営層が意思決定をしているのではなく、ある程度の時期がすぎたら現場がスムーズに動けるような組織体制の構築を目指しましょう。

コスト管理力

人だけでなくお金への着目も欠かせません。どれだけ先鋭的かつ優れたアイデアから生まれた事業でも、収益が生み出せなければ足手まといになるでしょう。新規事業開発の責任者や経営層は常に損益計算やコスト管理に気を配る力も求められます。

定期的に予算通りに進んでいるか、売上の見通しを立てて、キャッシュフローが崩壊しない仕組みを整えましょう。

実践的イニシアティブ

新規事業開発では入念な情報収集や仮説立てを行いアクションに移していきますが、結果が不透明な中で進めるため、現場の空気感を測りながらのイニシアティブが必要です。どれだけ素晴らしい仮説を立てたとしても、VUCA時代にすべてが最初のとおりに進むことはありません。実際に、ここ数年は世界中で名のしれた企業が新たな事業を展開しては失敗に終わる例が後を絶ちません。

新規事業開発を成功に導くために、経営層はデスク上だけでなく実践の中で得た情報にも耳を傾けましょう。プロジェクトを進める中で違和感を覚えたり、変化があったりする場合は柔軟な対応や現場の従業員への指示が欠かせません。

なお、変化においては、現場の従業員が違和感を覚えても決定権がないためアクションを起こせません。危機感を覚えていても直属の上長に一蹴され、改善の機会を失う可能性もあります。経営層が常に現場の声を聞き、市場の最新情報を確認して主体的に進めましょう。

新規事業開発に活用できるフレームワーク

こちらでは新規事業開発に活かせるマーケティングのフレームワークを5つ紹介します。すでに実践しているフレームワークのいくつかは新規事業にも応用可能です。各手法をいま一度確認し、実践しましょう。

SWOT分析

SWOT分析は下記4つの要因から自社の現状を分析する手法です。

・強み(Strength)

・弱み(Weakness)

・機会(Opportunity)
・脅威(Threat)

SWOT分析により、自社の人材や技術の強みや弱み、また外的要因である社会の動きを把握してビジネスチャンス獲得の機会を探れます。

3C分析

3C分析は「Customer(顧客・市場)」「Company(自社)」「Competitor(競合他社)」3つの観点からデータ分析を行い、戦略を立てる手法です。もっとも重要な要素は顧客ですが、ターゲットを取り巻く環境をバランスよく把握すると採用するアイデアが見えてきます。

PEST分析

PEST分析は下記4つのマクロ的環境を分析します。

Political(政治)

Economical(経済)

Society/Cultural(社会/ライフスタイル面)

Technological(技術面)

企業が永続的に成長するためには外的要因にあわせた変化が欠かせません。自社の力ではどうにもならない観点を分析し、適応することで新たな販路を見出せ、かつ新規事業開発において重視するポイントが見えてくるでしょう。

STP分析

STP分析は市場の需要や現状を把握したあとに狙うべきターゲットを定め、そして自社のあるべき姿(事業展開)を見出す手法です。STP分析は業界や業種を問わず応用できる手法のため、新規事業開発においても効果的でしょう。

バリュー・プロポジション・キャンバス

バリュー・プロポジション・キャンバスは自社と市場のズレを解消する際に役立つ手法です。これまではゼロからの分析に必要な手法でしたが、バリュー・プロポジション・キャンバスはやや構想が固まってきた段階で世間とのズレを調整する役割を担います。


新規事業開発においては具体的な案がでてきた際に、再度顧客ニーズと商品やサービスを照らし合わせて齟齬がないか確認します。実行前にミスマッチを発見することで後の損失や販売機会のロスを減らす効果が期待できるでしょう。

まとめ 新規事業開発

新規事業開発は経営層のマインドセットと入念な計画、適切な人材のアサインが重要です。どれだけ潤沢な資金があったとしても人材が不適切だったり、時代に見合わない事業を展開していたりでは無駄に終わります。そのため、経営層が見据えるビジョンを社内全体で共有し、共通意識を持って進めましょう。

また、新規事業に専門性が求められる場合は外部からプロフェッショナルを招く方法も検討します。事業が軌道に乗るまでや業務フローが確立されるまでサポートできる人材を採用すると新規事業開発の成功につながるでしょう。

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