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新規事業におけるオープンイノベーションのメリット

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多くの業種で市場の成熟化や商品のコモディティ化が進むなか、事業を成長させていくためには新たなイノベーションが欠かせません。特に新規事業を成功させるには、スピーディーにイノベーションを進めていかなければ、競合に先を越されてしまうリスクも増大します。そこで、イノベーションをスピーディーに進める施策として注目されているのが、オープンイノベーションです。今回は、オープンイノベーションが注目される理由、実現させることのメリットや実際に行ううえでの注意点などをご紹介します。

従来のイノベーションの問題点

そもそもオープンイノベーションとは、2000年代の始め、UCバークレー校のヘンリー・チェスブロウ教授が、ハーバードビジネススクールで教鞭をとっていた際に出版した著書のなかで提唱したものです。具体的には、企業が他の企業や研究機関、大学、スタートアップなどと連携し、そのうえでそれぞれが得意とする技術やアイデアを持ちよることで新たな価値を生み出し、革新的な商品、サービスやビジネスモデルを開発することをいいます。

オープンイノベーションが注目を浴びるようになった原因は1つではありませんが、そのなかでも大きなものとして挙げられるのが従来のイノベーション手法の限界です。従来のイノベーションとは、自社内のみで新たな商品、サービスの開発を行うもので、「クローズドイノベーション」とも呼ばれています。このクローズドイノベーションには、次のような問題点があります。

コストがかかる

クローズドイノベーションは基本的に自社内だけですべてを完結させる必要があり、研究費、開発費、人件費などすべてのコスト負担を自社で賄わなければなりません。そのため、1つの商品、サービスを開発するには多大なコストがかかります。

商品・サービスの開発スピードが遅くなる

冒頭でも触れたように、現在、多くの業種で市場の成熟化、商品のコモディティ化が進んでいるうえ、商品のライフサイクルも以前に比べ非常に短くなっています。そこで重要となるのは、競合他社より早く市場に商品を出し、少しでも先行者利益を得ることです。しかし、クローズドイノベーションの場合、企画、開発、製造をすべて自社だけで行うため、市場に商品を出すまでのスピードがどうしても遅くなってしまい、競合他社に先を越される可能性が高くなります。

革新的な商品開発が困難

時代をリードするポータブルヘッドフォンステレオなどを開発した日本を代表する電子機器メーカーが1990年代に市場に投入した人気ゲーム機には、自社グループだけでなく、さまざまな企業と共同開発した技術が使われています。もし、クローズドで開発しようとしたら、このゲーム機が世に出るのは何年も後になっていた可能性があります。あるいは、もしかしたら世に出ることはなかったかもしれません。クローズドイノベーションは既存のリソースを活かした商品企画、開発は得意としますが、革新的な商品企画、開発に関しては、オープンイノベーションのほうが向いていると言えます。

オープンイノベーションを実現させることのメリット

クローズドイノベーションには多くの問題点が見られるようになった今、その問題点を解消する方法の1つとして注目を集めるオープンイノベーション。実際にオープンイノベーションを実現させることで生まれるメリットには次のようなものが考えられます。

外部の視点を入れることで客観視が可能になり、自社の強み弱みを改めて見つめ直すことができる

クローズドイノベーションでは、どうしても主観的視点しかないため、自社の強みや弱みに気づけない場合があります。しかし、オープンイノベーションで外部の視点を入れると、現状を客観視することができ、結果として自社の強みや弱みが明確になります。これにより、自社の強みを伸ばし、弱みを改善することが可能になり、企業として成長が見込めます。

自社内だけでは思い浮かばなかったような新しいアイデアを得られる

オープンイノベーションを行う目的の1つとして、自社では実現できない技術やアイデアを得られることが挙げられます。外部からの視点が入ることで、自社内だけでは気づかなかった発想を得たり、問題点が明確になったりする可能性が高まることが、オープンイノベーションの大きなメリットです。

実際、JOB HUB 顧問コンサルティングの事例でも、イノベーションの実現を目指す安藤ハザマ様の依頼を受け、ゼロから新規事業を起こす知見を持ち、経験も豊富な人材を紹介。その結果、外部の新しい情報に加え、さまざまなフレームワークを基に議論を行い、最終的には特定のスタートアップと協業を検討する段階にまで進んでいます。

革新的な商品、サービスを開発するには、さまざまな技術、アイデアが必須です。しかし、それらの技術、アイデアを持った人材を雇用、もしくは自社の社員を育成するには大きなコストがかかります。オープンイノベーションであれば、すでにそうした技術を持った企業と手を組むことで、人材雇用、育成コストを大幅に削減することが可能です。

外部の力を借りることで開発スピードが向上する

前述したように、オープンイノベーションでは自社以外の企業や大学などとそれぞれが得意な分野で協力し合うことで革新的な商品、サービスの開発を行います。そのため、クローズドイノベーションに比べ、スピーディーな開発が可能です。

オープンイノベーションを実現するための課題

コスト削減をしつつ、プロジェクトを進めるスピードを上げ、革新的な商品・サービスの開発を実現するオープンイノベーション。しかし、オープンイノベーションを成功させるには解決させておかなければならない問題点もあります。具体的には次のとおりです。

  • 情報漏えいリスク
    オープンイノベーションでは、自社以外の企業、大学などの技術を自社の技術と組み合わせることで進めていきます。そのため。開発スピードは速くなりますが、自社の技術が外部に流出するリスクも高まります。これを防ぐには、自社リソースだけでは不足する範囲を正確に見極め、協業だとはいえ、必要以上の情報は外部に漏らさないようにしなくてはなりません。
  • コミュニケーションコストの増大
    オープンイノベーションを成功させるには、外部との綿密なコミュニケーションが欠かせません。そのためには、自社内だけで行う開発に比べ、時間、距離的なコストが発生することになります。このコストを軽減させるには、Web会議やチャットなどのコミュニケーションツールだったり、移動先や移動中でも通信を確保できるモバイルなどの環境を効率的に活用・整備したり、双方の橋渡しとなる人材を置いたりすることがポイントです。
  • 自社開発能力の衰退
    自社だけでは思いつかないアイデアや実現できない技術を効率的に得られるオープンイノベーションですが、あまり外部の力を頼りすぎると、自社開発の能力が衰退してしまうリスクがあります。このリスクを軽減させるには、情報漏えいリスクの解決策と同様に、自社リソースで解決できることは外部に頼らず、どうしても足りない部分だけを協業するといった形でそれぞれの領域を明確に分けることが重要です。

オープンイノベーション実現のポイントは外部人材の選択

オープンイノベーションは、自社内のリソースだけでは導き出せなかった革新的なアイデアが生まれることです。しかし、そのためには、まったく新しい視点を持った人材を登用したり、新しい発想を促す手法を導入したりすることが不可欠です。また、自社以外の企業とのコミュニケーションが増えるため、コミュニケーションコストを下げるためには、双方の橋渡し役的な人材やノウハウも欠かせません。

しかし、海外に比べてまだオープンイノベーションの成功事例の少ない日本において、そうした人材をゼロから見つけることは容易ではありません。そこで、おすすめなのが、JOB HUB 顧問コンサルティングです。オープンイノベーションの実現を目指す企業の課題解決に必要な人材をご紹介します。外部からの新たな視点を持った人材採用を検討されているのであれば、ぜひ、JOB HUB 顧問コンサルティングをご利用されてみてはいかがでしょう。

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