新規事業を成功に導くには、どうすればよいでしょうか。重視すべきは、事前調査や事業立ち上げまでのプロセスです。このプロセスをしっかりと固めることで、事業成功の確率は上がるといわれています。今回は新規事業立ち上げまでのプロセスや、押さえるべきポイントについて解説します。
目次
新規事業立ち上げに大切な要素を集めていくと、経営資源と呼ばれる「ヒト」・「モノ」・「カネ」・「情報」、の4要素に分類できます。これらを正しく活用できれば、新規事業開始時の問題は最小化されるといわれています。新規事業の開発時はまず情報を集め、そこから長期的観点で事業計画を立案し、必要な人材や資源、資金を配分するという流れになります。この流れをスムーズにするには、これらの要素で問題になる点をあらかじめ心得ておく必要があります。そこで、まずはこの4要素に起こる課題やその解決方法の例を見ていきましょう。
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「ヒト」・「モノ」・「カネ」・「情報」の4要素に発生する課題と、その解決方法の例は以下のとおりです。
課題となるのは「どんな技術を持った人間に任せるべきか」、「任せられる人間がいない」、「優秀な人材を既存事業から新規事業に移すことができない」といったことです。
解決策としては「新規事業に必要な技術は何かを考え、社内の各部門が既存事業にどう貢献しているかを明確にする」、「既存事業に参加している優秀な人材の技術力と新規事業との関連性を見出す」といったことが挙げられます。
今まで蓄積してきた技術や資源をどう活用するかということも課題になりがちです。
これを解決するには社内で保有している、強みになりそうな技術や資源に改めて着目し、それらが具体的にどういったものなのかを見極め、市場性を明らかにすることです。例えば、ある大手フィルムメーカーがコラーゲン技術を用いてフィルムをつくるノウハウを活かし、コラーゲンを配合した化粧品の製造に乗り出したことが成功例として挙げられます。
課題となるのは予算が足りない、あるいはどれだけの資金を確保するかということです。
先述のフィルムメーカーのように、既存事業のノウハウを活かすことができれば、新しい投資をすることなく新規事業をスタートでき、必要な費用を抑えることになります。
また、技術の市場性が高ければ外部から資金を獲得する方法もあるでしょう。
どんなプロセスやフレームワーク(枠組み)で進めるのか、どんな企画を評価すればよいのかが分からないということが課題になります。
4要素の中でも特に課題が発生しやすいのが「情報」です。プロセスの構築や意思決定のノウハウがないとさまざまな意見対立が起こってアイデアがまとまらず、結果として事業立ち上げ自体にブレーキがかかる恐れも生じます。
どんなプロセスで進めればよいか分からないときに1つの選択肢となり得るのが「リーンスタートアップ」方式です。リーンスタートアップについては後述しますので、その前に、事業立ち上げに際して行う事前調査について見てみましょう。
新規事業立ち上げのためには、まず以下の調査を行う必要があります。
※上記の3.と4.は、事業立ち上げ後にも必要となる調査です。
ではここからは、新規事業立ち上げのプロセスにリーンスタートアップ方式を導入するやり方について、詳しく見ていくことにしましょう。
リーンスタートアップ方式とは新事業に対する市場の反応や、事業が成功する余地と改良の余地があるか否かなどを早期に判断したうえで、何度も軌道修正を実行する方法です。2010年頃から注目され始め、アメリカ・シリコンバレーに存在する多くのベンチャー企業に取り入れられていることでも有名です。
これは新規事業が顧客ニーズに合わず、結果的に時間と労力を無駄にしてしまうことを防ぐためであり、そのためには随時市場の動きやライバル企業の動向を把握しておく必要があります。
このやり方を参考にして新規事業立ち上げのプロセスを3つのフェーズに分けると次のようになります。
・企画(アイデア収集・事業計画策定・事業性の評価)
新規事業は始めが肝心です。プロジェクトマネジャーを選定し、新しい事業に活用できる資産を分析して自社の強みをリストにまとめたあとは、社内のアイデアを収集。そこから事業計画の策定とその評価へ移ります。
目的が明確になっていればアイデアを発想しやすく、新規事業経験のある社員が不在でも問題意識の強い社員や、初期検討に知見のある人材を投入できます。
またアイデアを着想する手段には「誰のどんな課題を解決するか」を明確にし、前述の社内資源分析を行うことが効果的です。
経営者とプロジェクトマネジャーに共通の認識があれば、事業計画の評価も円滑かつ的確に進みます。
・事業立ち上げを実行(資金とメンバー確保・開発と販売・期間経過後の評価)
実際に事業を立ち上げる際は補助金や出資も含めて資金をかき集め、社内からプロジェクトメンバーを招集。事業成功の可能性を早期に見極め、調査・分析を重ねて計画内容を何度も修正します。
そのためには計画の「仮説」を立ててそれを「検証」、「評価」する体制を社内に構築する必要があります。
具体的には顧客ニーズを想定して仮設を立て、それを基に最小限度の範囲で製品をつくり、少人数の顧客へ向けて展開(テストマーケティング)。その後、売上や反応を見て評価することで軌道修正を実行します。
これにより事業成功の確率を上げることが可能です。
・事業を大きくする段階(計画と実行)
事業を大きくするための計画を策定し、それを実行する段階です。
専門知識や経験が必要な場合は外部の専門家に協力を仰ぎ、事業巨大化のためのプロセスを正確に評価する体制を構築しする必要があります。
新しい事業を成功させる要件には以下のようなものがあります。
・自社の得意分野を活かす
・経営ビジョンを明確にする
・インセンティブを設定する
このうち最初の要件に関しては、先述のとおり、新規事業開発費用の削減につながるので、企業にとっての負担が少ないというメリットがあります。
2つ目の要件はリーンスタートアップと同じく、「目的を明確にすることで事業を軌道に乗せる」ために必要であり、3つ目は従業員の不満と負担を軽減し、経営ビジョンを共有するために必要です。
新規事業の立ち上げは困難が伴うものですが、事前調査を踏まえたうえでしっかりとしたプロセスに基づいて実行していけば、成功する確率は高まります。新規事業立ち上げを目指している方は、プロセス構築を念入りに行うことで、事業を成功へ導いてください。
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