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組織人事課題

エンジニア採用はなぜ難しいのか?明日から実践できる採用のための工夫

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急激なスピードで少子高齢化が進む日本。総務省が発表している「情報通信白書(平成29年版)」によると、2015年に7,629万人であった生産年齢人口(15歳~64歳)は、2030年には6,773万人に、さらに2060年には4,418万人にまで減少すると予測されています。この影響は職種、業種にもよりますが既に出始めていて、そのなかでも顕著なのがエンジニアの不足です。その理由として、AIやIoTといった新しい技術の普及、多様化するサイバー攻撃に対するセキュリティ対策など、あらゆる業種でエンジニアの重要度が高まっていることが挙げられます。そこで、今回はエンジニア採用が困難になっている理由を踏まえ、その対策として企業がやるべきことについて考察していきます。

なぜ エンジニアの採用難易度が上がっているのか?

冒頭でも触れたように、生産年齢人口の減少はさまざまな業種において人材不足が慢性化していく大きな理由となっています。それはエンジニアも同様で、経済産業省のレポートによると、2015年時点では約17万人のIT人材が不足していると推計されており、今後さらに人材供給は減少していくという見通しがあります。また、単純に絶対数が不足すれば採用の難易度が上がるのは当然ですが、エンジニアに関しては、それ以外にも採用難易度が高い理由として主に次の2点が考えられます。

1.旧来の人事部主導の採用活動で、エンジニアの技量を測りきれない

エンジニアには大きく分けて、業務の効率化・コスト削減を実現するための「課題解決型」、そしてこれまでにないビジネスを創出し、新しい仕事や価値を生み出す「価値創造型」の2つのタイプがあります。これまで多くの企業に求められていたのは課題解決型のエンジニアでした。もちろん今でも業務効率化やコスト削減が重要であることは変わりません。しかし、少子高齢化により多くの業界で市場拡大が難しくなっている今、企業は生き残りをかけた戦略を練る必要があり、AIやIoTなどの新しい技術に長けた「価値創造型」エンジニアの重要度が年々高まっています。

ここで問題となるのが企業側の採用活動です。新しくエンジニアを採用するには人事部だけではなく、エンジニアの技量を見極めることができる社内エンジニアの協力を得ることが必須です。しかし、多くの企業で旧来の人事部主導による採用活動を変えることができず、エンジニアの技量を測りきれていないことが、採用の難易度を上げています。

2.そもそも優秀なエンジニアは転職市場に出てこない

エンジニア採用の難易度が上がっているもう1つの理由は、優秀なエンジニアは転職市場にほとんどいないといった点が挙げられます。それは、優秀なエンジニアであれば、企業に就職するよりもフリーランスで働いたほうが場合によっては高給を得られる可能性が高いからです。

また、エンジニア側にとってみれば、1つの企業に就職してしまうことで仕事の自由度が下がってしまうこともフリーランスを選択する大きな理由になっています。これは1の理由にもつながりますが、企業側がエンジニアの技量を測りきれず、採用したエンジニアに適した業務を割り振れなければ、そこで働く理由がなくなってしまいます。それであれば自分の技量を理解してくれる企業とワンショットで契約をするフリーランスのほうが、最大限の力を発揮できるため、わざわざ転職市場に出る必要はありません。こうした理由から企業がエンジニアを採用するのはますます困難になってきているのです。

エンジニア採用が難しい……と嘆く前にやるべきこと

さまざまな理由により、エンジニア採用の難易度が上がっている昨今、しかし、前項で説明したように単純に求人媒体に出稿する、エージェントに依頼するといった施策だけでは優秀なエンジニアを採用することは困難でしょう。そこで企業がまずやるべきことは、本当に採用したいエンジニアの「採用要件」を明確にすることです。具体的な例としては、次のようなことが考えられます。

どんなポジションでどんな仕事をしてもらいたいのか、そのためにどういった経験やスキルが必要か

入社したエンジニアに何をしてもらいたいのか、そしてそのためにはどういった経験やスキルが必要であるかを明確にすることは、採用における最低条件の1つです。そもそも、これが明確でない企業に応募しようと思う人は皆無でしょう。

特に優秀なエンジニアの場合、フリーランスとして自分が得意とする分野の仕事だけを受けるといった選択肢もあります。そのため、わざわざ何をやらされるかわからない企業に就職するリスクを冒そうとは思いません。

これからどんな役割を担ってもらう必要がありそうか

エンジニアの採用要件としてもう1つ重要なポイントは、将来的に自社がどういった分野に進出したいのか、もしくは既存の分野でどう発展をしていきたいかを明確にすることです。企業として将来のビジョンが定まっていれば、エンジニアとしてそれに貢献できるかどうかの判断材料になるうえ、入社してからのモチベーションアップにもつながります。短期的な視点で目先の課題解決をするためだけにエンジニアを採用することは、企業側、エンジニア側、どちらにとっても得策とはいえないでしょう。

めぐり会いだけに期待せずに、自社で取り組むことは?

優秀なエンジニアを採用するには、採用要件を明確にすることに加え、偶発的なめぐり会いに期待するのではなく、自社の採用活動を改めて考え直す必要があります。そのなかでも主なポイントとなるのは次の3点です。

1.選考フローの再検討・明確化

人事、現場、社長といった一般的な選考フローに縛られるのではなく、候補者となるエンジニアの意欲、応募経路によって、選考フローを柔軟に変更することが重要です。特に社内にエンジニアがいる場合は、積極的に協力を得て、選考を進めていくことで、優秀なエンジニアを採用できる可能性は高まります。

2.母集団形成の見直し

これまで採用活動の中心であった求人媒体やエージェントだけに任せるのではなく、リファーラルやソーシャル、スカウトといった方法も積極的に活用し、さまざまな経路で母集団を形成することで、これまでは出会うことがなかったエンジニアに出会える機会が増大します。

3.働く環境の再整備

優秀なエンジニアは流動性も高く、仮に採用が実現したとしても、社内環境が悪く働きづらいとなれば、すぐに離職されてしまいます。そこで、重要なポイントは、コミュニケーション環境や就環境、スキルアップサポートなど、ここで仕事をしたい と思ってもらえるような環境を構築することです。

今後、エンジニアの確保は「採用」の必要性の考慮から始めることが重要

総務省や経済産業省の調査でもわかるように、人材、特にエンジニアの採用難易度は年々高まっています。しかし、すべての企業で優秀なエンジニアの採用ができていないかといえばそうではありません。さまざまな工夫をすることで、必要なタイミングで必要なスキルを持ったエンジニアを採用することは可能です。そのためには、今回ご紹介した「採用要件」と「新たな採用活動への取り組み」を参考にされることをおすすめします。

また、エンジニアを確保するためには本当に「採用」が必要なのかというもっとも根本的な部分を再考することも重要です。単発の業務であればフリーランスとスポットで契約することも視野に入れることで、選択の幅は大きく広がります。そのうえで「採用」が必要であるとなった場合におすすめなのが、「JOB HUB 顧問コンサルティング」です。豊富な採用実績や昨今の採用におけるトレンドを熟知するプロフェッショナルの知見を活用することで、優秀なエンジニア採用に大きく貢献します。もし、エンジニア採用に課題を抱えているのであれば、ぜひご検討されてみてはいかがでしょう。

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