2021年3月1日以降、会社法の改正によって、上場企業に対する社外取締役の設置が義務化されました。設置が義務化された昨今において、企業担当者たちは、社外取締役の重要性や役割を理解したうえで適切な対応が求められるでしょう。また、社外取締役を設置する際には、自社に適した人材を選考する必要があります。
そこで今回の記事では、社外取締役の要件や役割をはじめ、選任方法や探し方の具体例まで解説します。自社にふさわしい社外取締役を選出したいと考える企業担当者様は、ぜひ当記事の内容をお役立てください。
目次
社外取締役には誰を採用してもよいわけではなく、経営の意思決定と監督を社内情勢などに左右されずにすすめられるよう、社内と利害関係にない立場の人物が望ましいとされています。
そのため、会社法2条第15号によって、以下のように「社外取締役の就任要件」が明確に定められています。
社外取締役として、「会社と利害関係にある者や、会社との結びつきが強いと思われる人」は就任できない一方で、学歴や性別などに関する要件は問わないことが特徴です。
社外取締役の役割について、端的に表現すると、企業経営の監視および監督の実施です。
コーポレートガバナンス(=企業統治)を意識し、企業内の不祥事や不正の防止、公正な判断が下せるよう、常に企業を統制していきます。コーポレートガバナンスが重視される昨今において、社外取締役への注目度も高まっています。
社外取締役は公正な視点をもつ必要があるため、先述の通り「会社と利害関係がない人物」を選出する点が特徴です。会社と利害関係にないことから、社内情勢や派閥などを度外視したうえで、企業経営へのアドバイスやサポートができるでしょう。また社外取締役は、会社の取締役会にも参加します。
さらに社外取締役は、株主や投資家との直接対話によって意見交換をする機会もあるなど、株主や投資家と経営陣との橋渡しを行なう重要な役割も担っています。社内情勢に左右されない社外取締役が、株主や投資家と接触すれば、外部からの意見を第三者目線で取り入れやすく、新たな風を吹き込む契機にもなり得るでしょう。
社外取締役の役割について、詳しい内容はこちら:社外取締役の役割とは?効果を得るための適切な人材の選び方を解説
社外取締役を選任する際には、ポイントを踏まえた選び方が求められます。以下の内容を意識することで、社外取締役に適した人材を選出しやすくなります。
社外取締役には、客観的かつ中立的な対応が求められるため、既存の経営陣との独立性は重要です。既存の経営陣と親交がある人を避けたうえで、忌憚のない意見を伝えられる人物が適しています。
候補者に対し、既存の経営陣が未保有のスキルや経験がある点も、重視すべきポイントです。既存の経営陣に「企業経営を行なううえで不足するスキル」があれば、当該スキルの保有者を選ぶとよいでしょう。
企業経営の監視・監督を行なう社外取締役には、自身の経営経験も重視されます。経営に対するアドバイスや統制は、机上の空論ではむずかしいことも多く、実体験がものをいう傾向にあるからです。同時に、リーダーとしての素質や戦略的視点も確認するとよいでしょう。
候補者が、他社における取締役等の兼任について、どれほどの数を抱えているかをチェックします。多くの会社を兼任する事実は、社外取締役としてのニーズを意味します。多岐にわたる経験を保有する人物であれば、自社にも豊富な視点をもたらすことが期待できるでしょう。
社外取締役の候補者を評価する際に、社外取締役に多い経歴・属性を参考にするのも、1つの方法です。2020年に経済産業省が公開したデータによると、社外取締役に多く見受けられる属性は以下の通りです。
割合でいうと、経営経験者が全体の46.0%と半数近くを占めます。
※参考資料a
ガバナンスへの意識が特に高い「指名委員会等設置会社」では、社外取締役の割合は63.3%におよびます。また、昨今ではコンプライアンス意識が高まっており、リスクマネジメント強化として弁護士を社外取締役にするケースも多いでしょう。財務資料づくりや経営の安定性面で投資家からの信用を獲得すべく、公認会計士/税理士や金融機関出身者を社外取締役に選任する事例も見受けられます。
ここまでの話では、社外取締役の選び方や属性を解説しました。具体的な要件や適切な人材の属性を理解したものの、実際に社外取締役を探す際に、どういった方法を実践すればよいのかと戸惑う人もいるでしょう。社外取締役を探す際には、一般的な「社外取締役の探し方」を知ることで、より適した候補者を見つけやすくなります。
自社に合った社外取締役を見つけたうえで、社外取締役のサポートによって会社経営をスムーズにすすめている企業は、以下のような方法を実践しています。
1つ目は、自社の経営陣の知人や取引先といった「既存のビジネスネットワーク」を活用し、推薦や紹介などで社外取締役を見つける方法です。社員や取引先など、普段からよく知る人物を介した見つけ方であるため、信頼性の高い社外取締役を選任しやすくなります。
また会社として、社外取締役に多い属性(経営者や弁護士など)が集まるビジネスコミュニティに参加していれば、参加メンバーを招致することもできるでしょう。ほかにも、提携している監査法人から、自社に適した人材を紹介してもらうケースも見受けられます。
2つ目は、他社において社外取締役として就任する人物や、業績の豊富なビジネスリーダーに着目したうえで、彼らに対して直接的にアプローチをかける方法です。他社の優秀な社外取締役や業績の豊富なビジネスリーダーを探す際には、「上場企業のウェブサイト」や「社外取締役を特集した報道記事」などを活用して情報収集を行なうとよいでしょう。
社外取締役は、複数社にわたり兼任するケースも多く見受けられるため、自社から提示した条件やタイミングなどが合えば、自社の社外取締役も兼務してもらえる可能性が大いにあります。
3つ目は、昨今において最もメジャーな方法である、社外取締役を紹介する「人材紹介会社や専門サービス」の活用です。自社に最適な社外取締役を紹介してもらえるとともに、企業担当者が社外取締役を探す手間暇の削減ができることから、非常に人気な手法です。自社で一から社外取締役を選任すると、適した社外取締役を探すノウハウが習得できるとともに、個別に時間をかけて候補者に声をかける必要があり、非効率的な部分がある点は否定できません。
一方、社外取締役を紹介する人材紹介会社やサービスでは、プロの採用担当者やコンサルティングが在籍しており、彼らの知見にもとづいたスクリーニングや候補者の評価がスムーズに実施されます。人材紹介会社やサービスは、市場のトレンドや動向にも精通しており、特定のポジションや業界に即した候補者を見つけることが可能です。
また紹介会社のリクルーティングプロセスは効率的であることから、社外取締役の選任プロセスも円滑だといえます。加えて機密性の確保にも優れているため、信頼性という観点から見ても安心して取引ができるでしょう。
自社にふさわしい社外取締役を選出したいとお考えの場合には、パソナJOB HUBが展開する「JOB HUB 社外取締役・監査役紹介」のサービスがおすすめです。同サービスは、業界をリードしている大手企業から急成長を遂げているベンチャー企業まで、幅広いバックグラウンドにおいて活用いただいていることが特徴です。
2,500社以上にのぼる多くの企業から支持されている理由は、「JOB HUB 社外取締役・監査役紹介」のサービス内容にあります。同サービスが保有する豊富なデータベースには、実績の豊富な「上場企業の元取締役」「大手企業の役員経験者」「各業界の有識者」などが多数登録されています。こうした幅広い選択肢のなかから、社外取締役を希望される企業様に最適な人材の紹介が可能です。現役の社外取締役として、他社で活躍している人も多く存在します。
社外取締役の紹介に関するサービスを、ワンストップかつスピーディーに対応できることから、社外取締役や監査役などのニーズに迅速な対応が可能であり、企業担当者様の負担も大幅に軽減できるでしょう。
上場企業において、社外取締役のニーズは年々増加傾向にあり、過去10年間で7倍に増えています。加えて2021年月の会社法改正によって、上場企業への社外取締役の設置が義務化されました。社外取締役の需要が増加したなかで、独立役員の雇用ができずに悩む企業が急増しています。
上記のようなお悩みを抱える場合には、「JOB HUB 社外取締役・監査役紹介」のサービスが適しています。専任の担当者が要件定義の段階からサポートをし、自社に最適な人物像を抽出したうえで、ふさわしい人材を紹介することが可能です。幅広い業界や職種の経験者をデータベースとして保有するため、多様な人材から選ぶことができます。また、候補者の決定打に迷う際には、「JOB HUB 社外取締役・監査役紹介」の担当者がお悩みをヒアリングしたうえで、適切な判断ができるよう、然るべきアドバイスを行なうことが特徴です。社外取締役を導入したいものの、何をどうすすめたらよいかわからない場合にも、「JOB HUB 社外取締役・監査役紹介」をご活用ください。
企業経営を維持および発展させるうえで、不祥事の防止や公正な判断を実施し、コーポレートガバナンスを意識する姿勢は不可欠です。さらに、上場企業においては社外取締役の設置が義務化しているため、社外取締役の早急な設置に迫られる企業も存在するでしょう。しかし、社外取締役の選出や判断に不慣れな状態で社外取締役を探せば、非効率的なやり方になるのはもとより、適切な社外取締役を見つけられない可能性も考えられます。
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※参考資料a:経済産業省データ