事業の失敗リスクは最小限に抑えたいものの、一般的に新規事業の立ち上げ成功率は10%と言われています。事業を成功へ導くには、新しい技術やアイディア、顧客から得るフィードバック情報をそのまま事業化するだけでは不十分です。
事業が失敗するリスクを最小限に抑えるためには、市場調査、戦略立案、リソース管理など、事業立ち上げに必要な多くの要素を適切に管理する必要があります。しかし新規分野に挑戦する際には、未知の課題に直面する可能性が高く、社内に十分な知見がない場合は特に立ち上げの難易度が上がります。
そこでこの記事では、成功率の高い新規事業の開発方法や重要となるポイントを詳しく解説します。
目次
新規事業をスタートして安定的な成功に至るのは全体の10%、もしくは新規事業の成功件数は1,000件のうち3件「千三つ」とも言われています。2016年に行われた調査(※1)によると、国内で新規事業の展開に成功した企業は30%未満であり、経常利益が増加した企業は全体の15%程度にとどまっているのです。
新規事業の成功の定義は事業の種類や企業によって異なり、一概に数値化はできないものの、一般的に新規市場は利益化に時間がかかる傾向があり、立ち上げは非常に難しいものだと言えます。新規事業を成功に導くには、十分な前提知識や適切な体制構築などの準備が欠かせません。
次項からは、新規事業を検討中またはスタートが目前の方に役立つ情報として、事業の失敗リスクを最小限に抑える新規事業の開発方法や手法を5つピックアップしてご紹介します。抜かりなく、一歩踏み込んだ準備を行い、事業立ち上げのリスクを最小限に抑えるよう努めましょう。
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新規事業開発において、市場調査は顧客ニーズを把握して差別化ポイントなど戦略の方向性を適切に設定するための重要なステップです。市場調査の結果は、顧客ニーズに即して円滑にプロジェクトをすすめることに役立ちます。そのため、担当者はもちろんチームや社内全体で結果を知ることが重要です。
一般的に、市場調査は以下のような流れで実施します。
また市場調査は、定量調査と定性調査の2つに大別できます。分析するデータや活用方法がそれぞれ異なるため、調査目的に応じた使い分けが必要です。
市場調査は1回の実施だけで得られない情報もあります。商品開発前、発売後、発売1年後など、異なるタイミングでの調査を行うと、顧客の動向や変化が把握できます。新規事業の成功率を高めるために、市場調査は1度行って終わりではなく継続的に実施することが重要です。
前述のとおり、新規事業を立ち上げる際には、企業側で市場調査を行い商品やサービスの価値を設定します。しかし、真の価値は、企業が戦略的に仕掛けて創出するものではありません。
顧客視点とは、自社の商品やサービスを継続して利用してもらうために、顧客が何を求めているのかを理解して改善点を見つけることから始まります。作り手ではなく顧客の立場になって新規事業の価値を見出す必要があるのです。ただし、顧客の意見と実際のニーズは異なる場合があります。顧客自身が潜在的なニーズを自覚していない場合、お客様の声で挙げられた意見をそのまま改善しても顧客満足度が向上しないかもしれません。そこで、顧客視点の調査では、言語化されていない真のニーズに焦点を当てて検討を行います。それは、「自社がどうしたいか」「実際のお客様の声」ではなく、ターゲットとなる顧客層に寄り添うことが重要です。普段どのように生活をしているのかを深堀りし、感じていることや、身近にあるもの、利用している商品やサービス、それらを選んだ理由など多くの情報を把握する必要があります。
しかし、自社商品について考える際は企業の視点になりがちで、顧客視点に立つことは簡単ではありません。そこで、「4C分析」「ペルソナ分析」「AIDMA」「カスタマージャーニーマップ」など、顧客視点を取り入れるためのフレームワークを有効に活用しましょう。
新規事業の成功率を高めるためには、企業の経営者層や各部門トップの人財に対して積極的にコミットすることがおすすめです。まず、新規事業を成功に導くには、適切なタイミングでの市場展開が極めて重要です。タイミングが早すぎれば市場の動向、消費者の需要、技術的な成熟が不十分な可能性があり、遅すぎれば競合に先を越されるリスクが生じます。日ごろから組織の最終決裁権をもつ人材が新規事業開発に関わっていれば、経営的な判断である予算承認や社内決議についても迅速に意思決定できるのです。
そして、新規事業の立ち上げには、商品やサービスを開発するだけではなく、マーケティングや広告宣伝、流通など、複数の部門が関わります。経営者層や各部門トップの人財が案件の状況を把握して関連部門を横断したプロジェクトが構築できれば、必要に応じて社内リソースの調整が可能です。異なる部門間での連携も促進され、全社をあげた取り組みとしてスムーズに事業が立ち上げられます。さらに、経営者層が新規事業の内容を把握していれば、目指すべきROEの目標値を達成できるかなど、企業の長期戦略と整合性がとれているかの判断ができます。また、経営層が前面に出ることで、社内外にプロジェクトへの信頼感や期待を高めるような印象を与えることもあるのです。
デジタルマーケティング戦略とは、インターネットやデジタル技術を用いたマーケティング手法のことです。デジタルマーケティングには以下のような特徴があります。変化やデータに応じて柔軟に戦略策定できることから、新規事業の成功率を向上させる重要な要素となります。
Webサイト、ソーシャルメディアサービス、電子メール、スマートフォンのアプリなどのデジタルプラットフォームを通じて顧客との関係を構築します。
オンライン広告、ソーシャルメディア、検索エンジン最適化(SEO)を使って商品やサービスと関連する見込み顧客に情報を届けることができます。また、オンラインツールと分析ソフトウェアを利用すると、市場の動向や消費者の行動をタイムリーに把握できるため、都度事業の戦略が修正可能です。
ソーシャルメディアや電子メールをマーケティングに活用することで、顧客からのフィードバックや要望を直接受け取り顧客との関係性を強めることができます。
新しいトレンドや消費者のニーズの変化を素早く察知できるため、状況の変化にあわせて事業の軌道修正が行えます。
これまで述べた通り、新規事業を成功に導くには多岐にわたる要素に注意を払い、適切に対処する必要があります。そのため、ほとんどの企業は社内のリソースだけでは難しい状況にあり、外部人材やコンサルタントの支援を利用しているケースが多くみられます。市場の機会を逃さずに新規事業を迅速に展開するためには、即戦力となる知識と経験が欠かせません。そのため、外部人材の活用は、社内のリソース配分の効率化と事業の成長促進に大きく貢献します。
外部の専門家は、最新の市場動向や消費者のニーズに対して深い洞察力をもっています。外部からの視点は、自由なアイデアの創出やイノベーションの促進を下支えする他、ノウハウを事業計画のリスク評価や緩和策の提案に活かせるのです。昨今では多くの企業が外部の専門家やコンサルタントの知見を活用することが一般的になってきています。特に、事業の成功率を向上させるには、事業の分野に精通した経験や実績のある人材のアサインが不可欠です。
※企業ごとのお悩みに即したプロ人材をご提案いたします:新規事業支援サービス
パソナJOB HUBが展開する、JOB HUB顧問コンサルティングの「新規事業支援サービス」では、各業界や技術分野に精通したプロフェッショナル人材の提供を通じて、新規事業の立ち上げから成長までを全面的にサポートします。現在、少子高齢化をはじめ、働き方改革やAI、IoT、5Gといった新技術の登場など、ビジネス環境は急激に変化しています。そのなかで新規事業の成功率を高めるには、従来の枠組みや経験を超えた挑戦が欠かせません。
新規事業支援サービスでは、各専門家がもつ知識やノウハウ、経験、ネットワークを活かして、事業成長をサポートします。アイデアの具現化やサービス・商品の評価、製品化・事業化などの各フェーズに、経験豊富な専門家の知見と戦略的なアプローチを活かせば、新規事業の成功率がより一層高まります。
新規事業支援サービスでは、規模を問わず2,500社以上の企業に利用されています。ここでは、サービスの特徴を詳しくご紹介します。
「新しい要素技術を確立したが市場ニーズとすり合わせができていない」「商品はできたが黒字化に導く方法が見えていない」など企業の悩みはそれぞれ異なります。課題に適した経験や知識をもたない人材の場合、二の足を踏んでしまう可能性があります。新規事業支援サービスを展開するパソナJOB HUBには、あらゆる業界・業種の役員経験者や現役事業責任者、大学教授などの専門家など10,000名以上のプロフェッショナルが在籍しているため、企業毎の課題に即した専門性をもつ人材をご紹介することができます。
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新規事業の成功率は一般に10%と言われ、無事に立ち上げることは容易ではありません。事業の成功を確かなものにするためには、市場調査を徹底的に行うことが不可欠です。この際、フレームワークなどを活用して市場全体を把握し、顧客ニーズを明確に把握することが肝要です。ただし、単発の調査ではなく、継続的かつ定期的な調査が変化するユーザーの志向を把握しやすくし、事業戦略を柔軟に調整できるようにしましょう。もし社内の人員だけでは課題が生じる場合、外部の専門家や人材を活用する選択も一考の価値があります。
新規事業の成功率を高めるにはやるべきことが多く、自社のリソースだけでは知識や経験が不十分なことが少なくありません。事業の失敗リスクを最小限に抑えるために、成功率の高い新規事業の開発方法や手法を知っておく必要があります。不足するスキルを補う方法として、広告代理店やコンサルティングなどの外部サービスを利用する方法もありますが、外部の人材を専門家として自社に招き入れてノウハウを社内に蓄積させる選択をする企業が増えてきています。
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(※1)出典:中小企業庁委託「中小企業の成長に向けた事業戦略等に関する調査」/(株)野村総合研究所)