「青色申告」をすると、「青色申告」にしか認めらない必要経費、特別控除等を受けることができます。今回は「青色申告」制度を活用した、費用計上の方法や控除について詳しく解説いたします。
目次
クラウドワーカーといえど、家族の協力が必要になることもありますね。
「青色申告」の場合は、家族に対する支払いを給与として、全額必要経費として計上できます。
「青色申告」は配偶者に対する給与が、仮に月20万円とすれば、年額240万円を必要経費とすることができるのです。(給与の金額は業務内容によって異なります)
※白色申告の場合は、配偶者に対して「給与」という名目で経費の計上はできませんが、「事業専従者控除」という名目で最大86万円、配偶者以外の家族に対する給与は一人につき最大50万円を限度として必要経費として計上することができます。
減価償却についての詳細はこちらをご参照ください→減価償却ってなんだろう?その方法とは?
「青色申告」の場合、購入した際にかかった金額が10万円以上30万円未満の減価償却資産を取得した際、事業で使い始めた日に、購入金額に相当する金額を必要経費として計上することができます。
1年間の購入金額の合計額が300万円に達するまで、という上限はありますが、減価償却の手間やその年の所得金額に影響することを思うと、大きな金額ですね。
※白色申告の場合は、購入した際にかかった金額が10万円を超えている時点で、減価償却を行って、必要経費として計上することになります。
貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)という言葉を聞いたことはありますか?
簡単に言うと、貸したお金や未払いの報酬といった、売上債権等が得られない時に発生する
損失に充てるために備えとして用意しておく費用のことです。
※売上債権等・・・売掛金、貸付金、未収金等
「青色申告」の場合、一括評価または個別評価によって、貸倒引当金繰入を行い、必要経費として計上することができます。
(1)一括評価の場合による貸倒引当金繰入の計上ができるケースと計上金額
青色申告の場合は、年末時点で事業上生じた売上債権等(注)の残高の5.5%を貸倒引当金繰入(必要経費)として必要経費として計上することが可能となります。
一括評価の場合は、実際に貸倒による損失が発生しなくても、必要経費として計上することが出来ます。
(2)個別評価による貸倒引当金繰入の計上ができるケースと計上金額
①売上債権等の相手先が会社更生法の申請をし、その更生計画認可の決定等に基づき、弁済が猶予されたり、分割で行われたりする場合
→返済や支払いの猶予または分割が決まった年の翌年から5年以内に弁済される金額以外の金額(取り立ての見込みがあるものを除いた金額)
②売上債権等の一部について取り立て見込がない場合
→その一部に相当する金額
③事業上生じた売上債権等につき、更生手続き開始の申し立て等の事由が生じている場合
→事業上生じた売上債権等の50%相当額
個別評価の場合は、年末時点で貸倒による損失が発生し、なおかつ上記ケースに該当する場合に、必要経費として計上することが出来ます。
※「白色申告」でも個別評価は出来ますが、実際に損失が発生してからのことになってしまいます。
「青色申告」の場合、その年に生じた赤字を翌年以降3年間、翌年以降の利益と相殺することができます。
つまり、赤字が発生した翌年が黒字であれば所得が発生し、所得税がかかる場合でも、赤字分を所得から控除して申告できるということです。
ちなみに・・・
「白色申告」の場合は、基本的には損失を繰り越すことができず、その年だけで処理することになります。
しかも、利益と相殺できる赤字には制限があることにも注意が必要です。
《白色申告で損失として控除できる金額》
①棚卸資産、事業用固定資産等が、火災、震災、風水害によって生じた損失の金額(支払保険金は除きます。)
②変動所得の損失の金額
変動所得とは、下記の所得となります。
(イ)漁獲から生じる所得
(ロ)原稿又は作曲により生じる所得
(ハ)著作権の使用料により生じる所得等
青色申告の場合は、事業の利益から65万円の控除が可能です。
参照:個人事業主の確定申告は青色申告?白色申告?
この制度は青色申告者のみの特例ですので、「青色申告」のメリットと考えていいでしょう。
特別償却・・・「青色申告」の場合は、一定の設備を購入した場合は、購入金額に一定の割合を乗じた金額を、減価償却にプラスして必要経費計上することが可能となります。
特別控除・・・「青色申告」の場合は、一定の設備を購入した場合に、購入金額に一定の割合に乗じた金額を所得税額から差し引くことが可能となります。
どちらも見逃せない制度ですので、しっかり使いたいですね
今まで見てきたように、節税のメリットが多いのは青色申告です。
最初に申請と正確な記帳、それと共に書類の保存など細かい規定がありますが、青色申告の申請は、最初の一度のみです。
また、事業の経営状況を把握するためにも、帳簿の作成は重要ですから、いいことづくめと言ってもいいでしょう。
記帳は、前回で説明しました、「クラウド会計ソフト」を利用することで、簡単に処理することが可能となります。
ぜひ、青色申告制度を活用してはいかがでしょうか?
確定申告の申告期間は2月16日から3月15日と短いです。
その時になって慌てずに済むように、一日でも早く取り掛かりましょう。