その会社のアセットを活用した質のいい事業アイデアを考案すること、そのあとの工程でスピード感持って、推進できることが強みであると考えています。特に、リクルートやDeNAでは比較的デジタルの領域が多かったため、既存産業に対してITを活かしてアップデートするような業態を生み出すことを得意としています。その中で意識しているのは過度な分析に労力を使いすぎないこと。例えば、新規事業のアイデアがあまり出ないという場合、「まず御社の強みを分析しましょう」というアプローチが一般的ですが、たとえ分析しても全く見当違いな分析結果は、経験上そんなに出てきません。求められているのは、分析ではなく、筋の良いアイデア。分析に時間を使いすぎずに、質のいいアイデアを早く出すことが大切です。こういったスピード感は、新規事業が得意な会社での経験が活かされていると思います。
日本は初期仮説にこだわりすぎる企業が多く、そもそも新規事業をリリースできないケースもよくあります。重要なことは、新規事業の成功と失敗は社内ではなく、お客さんが決めるという視点。どれだけ社内で評価されても、売れなければ失敗です。もちろん仮説の精度も重要ですが、その間に先行プレイヤーも増えるし外部環境も変化します。新規事業は売上を出すまではコストなので、いかに早く駆け抜けるか、が大切です。お客様自身もそれは理解していても企業風土的にそれができない企業が多い。そんな時に私や私のチーム提供価値である、客観的な意見と、質のいいアイデアをスピード感持って、推進できる能力が活かされると自負しています。
新規事業の仕事では、「異質であり続けること」と「忖度しないこと」を心がけています。
異質であることについては、それが価値の根本要素の1つであり客観性を保つために必要だからです。例えばとある大手企業のお客様の事業におけるバリューチェーンについてヒアリングすると、その会社が自社クライアントのプロモーションにはかかわっていないことが見えてきました。理由を尋ねると業界慣習的な要素はありつつも、特に大きな理由はないことが分かりました。お客様自身も長い業歴があるもののその点はあまり考えたことがなく内部でも話にあがったことがなかったとのこと。そのセッションを通してその当時業界ではまだあまり活用されていなかったYouTubeやインフルエンサーを活用した顧客のプロモーション支援事業のアイデアが生まれました。
また、支援の中では、あまり忖度せず、思っていることを正直に言うことを大切にしています。上手くいかないと思うのであれば、上手くいかないと思う理由とセットで話す。新規事業は失敗する可能性の方が高いので忖度していては決して良い事業にはならないからです。
現状、日本での新規事業成功率が10%ほどと言われているのを将来的には30%まで持っていけるように、引き続き知見と経験を積み、関わるプロジェクトを積極的にリードしていきたいです。