顧問紹介
鷲巣 信太郎
Shintaro Washizu
得意なフェーズ
経歴
富士写真フイルム株式会社(現・富士フイルムホールディングス) 富士宮研究所 研究部長
富士フイルム株式会社 新規事業開発本部 技術部長 (ニュービジネスプロデューサー)
富士フイルム株式会社 R&D統括本部技術戦略部 部長 (統括マネージャー)
Office EAGLE NEST (技術経営) 代表 (工学博士) ・静岡大学客員教授
クニミネ工業株式会社 社外取締役
技術経営を基にした新規事業開発の伝道師
富士写真フイルム株式会社(現 富士フイルムホールディングス株式会社)に入社以来、現場研究リーダーとして新製品開発を17年、研究部長として各種研究プロジェクトの全体管理を3年経験した。その後、本社において新規事業開拓の戦略企画部門および全社R&D統括マネジメント部門の責務を12年間担った。新規事業開発本部時代には、2件の新規事業を立ち上げた。全社R&D統括本部では技術戦略グループの統括マネージャー(CTOブレイン)として、研究開発テーマと事業化戦略の立案から遂行に至るまで独自の技術経営的視点を構築してマネジメント業務を実践した。特に、最適テーマポートフォリオ分析、部門連携強化のしくみづくり、テーマ探索プロジェクト推進、技術者マーケティング力強化、オープンイノベーション重点化などの施策を担った。再生医療分野では、事業部・研究所の新組織編成をサポートする中で、M&A戦略や新たなプロジェクトの立ち上げなどにも貢献。

プロフェッショナルの提供価値

新規事業を生み出す“意識改革”と “しくみづくり“が私の提供できる価値だと考えています。富士フイルム時代の経験が私のフィロソフィーの根幹になっています。富士フイルムは、企業の安定的な利益確保と資源配分が難しいとされる多角経営(コングロマリット)を、実は「強み」として実践してきている企業です。例えば、「技術の棚卸」による自社の競争力の源泉(=アセット)となる”コア技術“を抽出し、技術と市場の軸で最適なテーマポートフォリオを”見える化“しました。この検討プロセスを通じて、勝てると判断した市場にタイムリーにオンリーワン・ベストワンの商品展開を進めてきています。

たとえば、主力商品であったアナログ写真フィルムでは、その市場はデジタル化の波によって2000年をピークに年率10-20%で総需が縮小し、わずか~8年程度でほぼ消失。富士フイルムはこの危機を乗り切って迅速に業態転換を図るべく、当時の事業部縦割り組織に対してR&D組織を再編して全社横断のコーポレートラボ群を構築、総力で新規事業開拓に取り組みました。特に、R&Dが主体で「技術の棚卸」を徹底的に行い、商品競争力の源泉となる”12のコア技術群“、及び、勝ち続けるための体力となる”10の基盤技術群“を社内で共有化しました。その共通認識が一つの大きな原動力となって、フラットパネルディスプレイ材料事業、化粧品・サプリ事業、医薬品事業、バイオCDMO事業など数多くの新規事業への展開を可能としました。私はそのしくみづくりを主導で進め、形にすることができました。

また、組織改革と並行して新しいものを生み出すための社内の組織風土づくりも重要なポイントとなります。さまざまな物事に対する自由な発想、好奇心、そのカルチャーの醸成はイノベーションを創出していく上で必要不可欠な視点であることを意識しなくてはなりません。
私はイノベーションを起こしやすい組織風土づくりに向けて、通常の個別支援のほかにセミナーやワークショップなどを通じて、こうした意識を醸成していくことも得意としています。

仕事の価値観

私の仕事のスタンスは、過去の経験を絶対視せず、企業の特長に合わせたやり方を考えるようにしています。富士フイルム時代の知識や経験、実績が基本的な考え方であるとはいえ、必ずしも別の企業にそのまま適用できるとは限りません。その企業の事業領域、置かれた状況、独自のカルチャー、価値観などにより方法論は異なるからです。そのため、私が支援に入るときには徹底的にその会社のことを調べ、学びます。まずは現状分析に注力し、課題を抽出します。市場や業界の特質を知ることは当然のこととして、その企業の強みや弱みを正確に理解しなければ適切なアドバイスやコメントが発信できないと考えています。

現在社外取締役として関わっている企業では、月に1回の取締役会のほかに、各部門での会議や工場、現場内覧などにも努めて参加します。役員として経営に参画する際には、その企業の現場を自分の目と耳とで判断するために必要なプロセスだと位置づけています。関わらせていただく企業の一員として企業の実情を踏まえたやり方を考え、主体者意識をもって支援していくことこそが大切です。

支援事例

技術の棚卸により、複数の新規事業の事業化までの体制を構築

BEFORE
同社は大手機能素材メーカー。新たな事業の柱を創出するべく、新規事業に挑戦してきた。
だが、同社のコア技術が何かの定義ができておらず、事業転換の方向性や新たな事業の形が見出せていない状況。
AFTER
技術の棚卸手法を実践することにより、同社の強みであるコア技術の特定と共通認識を生むことに成功。
結果、利益が見込める複数の新規事業化データを創出し、開発から事業化までの体制を構築。

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