企業内での法務・ガバナンス・コンプライアンス、官公庁折衝等のパブリックアフェアーズの活動に加え、事業や経営の幅広い経験を有しているのが、私の強みだと考えています。ヤフーでは入社当初300名程度だったところから10,000名まで成長する過程での各事業規模における課題の対応をしてきました。そして、法務・ガバナンス・コンプライアンスに留まらず、黎明期だったインターネットサービスは、既存の法的枠組みにはあてはまらないことがたくさんあったため、ビジネスモデルではなく法的枠組みの方を修正すべきような事案もあり、各省庁との折衝や政治家向けのロビー活動を多数経験しました。また、キャッシュレス決済が広く普及する前の段階においてウェブ決済やネットバンキングの事業での経営経験を有することも、私の特異なキャリアを形成することに繋がりました。
取締役として、いかなる法令やルールが存在するかを知っていることは当然必要です。しかし、ルールは単に「守りましょう」と言うだけでは必ずしも守られません。いかに守られる体制を整えるかが経営における難しさなのであり、それを企業の中に在籍して対応してきたことは貴重な財産です。また、危ない橋を渡らないのは法務部門としては安心ですが、それでは事業の拡大は見込めない場面も多々あります。立法趣旨や大義を考え、何が適切なのかを熟慮したうえで、いかにアグレッシブに進められるかが経営の肝だと感じています。
法令やルールを守るために、どのような体制を築き、どう進めていくか。法務・ガバナンス・コンプライアンスの経験、パブリックアフェアーズ、事業・経営の3つのハイブリットキャリアは、取締役会の議論を充実させ、会社経営を前進させることに貢献できると考えています。
何かを進めようとするとき、そこに大義があるかどうかが重要だと思っています。企業が何かしようとするとき、多くのステークホルダーが関わってくることになりますが、最終的に大義がないことには多くのステークホルダーに賛同してもらうことは難しく、どこかで綻びが出ます。社外取締役は、決してただの評論家であってはいけないと思っています。
実施しようとしていることに大義はあるのかを確認し、企業内においてどのようなコミュニケーションがとられているかといったことも含め、情報を常にキャッチアップしながら、適切な環境下において適切な決断がなされているかをチェックし、会社経営を前進させたいと思います。