近年、既存事業に大転換を起こすような新規事業の立ち上げに多くの企業がチャレンジしています。社会課題が多くある中で、どのようなポイントをもとに新規事業立ち上げに臨むべきなのでしょうか。
この度、新規事業の最先端でプロジェクトを担う現役イントレプレナーをお招きし、「令和時代の新規事業の立ち上げ方~現役イントレプレナー4名が語る新規事業推進の仕組みと求められる人材像~」と題し、オンラインセミナーを開催しました。
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新規事業の立ち上げ方や進め方は、企業によって様々ですが、今回は大手企業における新規事業推進の特徴について登壇者にお伺いしました。
まず、新規事業立ち上げを担当する人材については、社内公募によって集めているケースがよく見られます。応募する人材の特徴は、“優等生”ではなく“個性を持った人”である傾向が強いですね。新規事業担当者のリアルな声として、他の事業部からの風当たりが強い立ち位置、という意見もありました。だが、そのような風当たりを気にせずに新規事業の立ち上げに集中でき、自らの意志を持って参画できる人材が適しています。(野島氏)
こういった新規事業への応募制度は増えてきています。企画書1枚の提出のみで応募が可能など、かなり低くハードルが設定されているケースも多く、年間応募総数が100件を超えているケースも見受けられますね。既存事業に捉われない事業を創るために、組織的にボトムアップ型で立ち上げる必要性が社会的に浸透し始めました。だからこそ、全社員が新規事業立ち上げに関わる機会を設けている企業が増えてきているのでしょう。ちなみにLIFULLには2006年から「SWITCH」という社内の新規事業提案制度もあり、年間100件以上応募があります。アイデアレベルでも受け入れ、すでに多くの新規事業・子会社がここから生まれているんです。(小池氏)
新規事業立ち上げの判断基準については、明確に設けられていない場合が意外と多いです。もちろん、提案された新規事業を実際に推進するか判断するための基準を企業内に設ける必要があるが、新規事業のため社内のリソースや知見も充分ではない場合もあります。そこで、外部の専門家にアドバイスを求めたり、外部に情報を取りにいったりするというアクションが必要になると思います。(加藤氏)
新規事業立ち上げにおいては、最初のフェーズで気軽にアイデアを集め、フェーズが進むにつれて外部リソースや社内リソースを上手く使って拡大させていく、といったスキームになっているようです。
新規事業立ち上げにおいて、どのような人材が新規事業の担当者として向いているのでしょうか。今回は、新規事業担当者に行動特性テストを受けていただきました。このテストは、株式会社ZeniQ CEO後藤正宏氏が打ち出している科学的なプロフェッショナルアセスメントです。データ(n = 40万人)を活用し、心内知性(自己認識力・ストレス耐性・メンタル力)、対人知性(対人認識・人間関係構築力)、社会知性(組織力・リーダーシップ力)等、27の行動特性を計測しました。
登壇者の行動特性を分析すると、共通項としてビジョン構築力、達成意欲、コミットメント力、チャレンジ力が飛び抜けて高いことが分かりました。一方、対人問題解決力の特性は低い傾向がみられました。
同じ意思を持つ人と事業を展開していて、ベースとして『やりたい』という思いが強い人材が集まっているので、対人問題を解決しようとはしていないのかもしれないですね。(小池氏)
自分のやりたい事業を進めるにあたって、人の反応を見ながら探っているものの、周りの意見は気にしない、と意識しています。(野島氏)
新規事業立ち上げ、という共通ミッションがあり、人と問題を起こすことがないので、解決する必要がないのかもしれませんね。(渡辺氏)
などと、ポジティブな意見が寄せられました。
上記の結果によると、決まったフレームワーク通りに立ち上げた例は少なく、ビジョンやその事業に対する熱意・ポジティブさ・チャレンジ精神が最も重要な特性であると分析できます。また、登壇者からも同様に、「年齢関係なくポジティブで成長志向が強い」「常に何かを学び続ける姿勢」「人からの評価を気にしない」「成功を求めず、自分の正解を求める」といった特性を持つ人材が多い、といった意見が挙げられました。
新規事業を立ち上げる人材を社内から抜擢する場合は、上記のような特性ある人材をアサインしてみてはいかがでしょうか。