特に若い経営者やスタートアップ企業で導入が進んでいる経営手法の1つ、「ホラクラシー」。海外では以前から導入している企業がありましたが、日本でも最近になって注目を集めるようになっています。企業としての意思決定スピードを上げることで業務効率化や社員の主体性向上に効果を発揮する一方で、リスク管理や社員のマネジメントが難しくなるというデメリットもある手法です。今回は、そもそも、ホラクラシー経営とはどういったものなのかを、その概要やメリットとデメリット、成功させるためのポイントを交えながらお伝えします。
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企業の組織形態は階層型(ヒエラルキー)が一般的です。社長を頂点とし、専務、常務、部長とピラミッド型の階級的組織形態であり、現在においても多くの企業がこの組織形態で経営を行っています。これに対し、ホラクラシーは、2007年にアメリカの起業家、ブライアン・J・ロバートソン氏が提唱した経営手法で、分散型もしくは非階層型の組織形態です。組織のなかに上下関係をつくらず、フラットな状態で社員全員が主体性を持ち、意思決定をしながらそれぞれの役割を果たして行くものです。
ホラクラシー経営が注目されるようになった背景として、従来の組織形態では、市場環境が変化するスピードに追いつけなくなる可能性があることが挙げられます。IT技術が進化したことで、モバイルワークや在宅勤務、サテライトオフィスでの仕事が可能になるなど、働き方の多様化が実現しつつあります。しかし、働き方だけが多様化しても、組織が従来のままであれば、急速に進化する時代についていくことは困難です。
特に多くの業種で製品、サービスのコモディティ化が進んでいる今、意思決定のスピードを上げ、先行者優位の立場に立つことが企業として非常に重要となっています。そうしたなか、社員一人ひとりに主体性を持たせ、状況に応じて社員に意思決定の権限を与えることで、変化のスピードに対応させられるホラクラシー経営が、大きな注目を集めるようになってきたのです。
ホラクラシー経営は、これまでにない新たな組織形態でさまざまなメリットを生み出しますが、反面、デメリットも存在します。ここではその両面からホラクラシー経営をさらに深掘りしていきます。
メリット、デメリットの両面を見たところで、実際にホラクラシー経営を導入し、成功させるための3つのポイントを紹介します。
社員全員が意思決定権を持つためには、できるだけ多くの情報を知っていなければなりません。情報格差があると、意思決定の判断が難しくなるうえ、フラットな関係性を構築することもできなくなってしまいます。
意思決定のスピードを上げるためには、情報をオープンにすることに加え、プロジェクトの進捗状況を常に把握していることも必要です。社員間のコミュニケーションを欠かさず、活発にディスカッションを行うには、必要に応じてミーティングを重ねる、社内SNSを導入するなどの仕組みをつくることが重要です。
ホラクラシー経営は上下関係がないため、管理を行わないといった誤解があるかもしれません。しかし、組織として業務を進めていくには、必ず管理が必要です。ヒエラルキー型経営の場合、人が管理しますが、ホラクラシー経営はルールによって管理を行います。すべての情報をオープンにするというのもルールの1つですが、状況に応じてそのほかにもさまざまな細かいルールの設定を行わないと、業務がスムーズに進まなくなるリスクが生じます。
これから企業として生き残っていくために重要なポイントとなる意思決定のスピードを上げ、効率的な経営を実現するための経営手法であるホラクラシー経営。しかし、導入してすぐにそれが実現するわけではありません。特に社員一人ひとりが主体性を持って行動するようになるには、それなりの期間が必要であり、意識改革も求められます。
また、内部だけではなく外部の知見を活用することもホラクラシー経営の成功に大きく影響します。特に人事面において、ホラクラシー経営を理解し、人材採用、育成を行える経験豊富な人材を置くことが欠かせません。JOB HUB 顧問コンサルティングでは、組織づくり、人事課題、経営課題の解決に長けた人材も多く在籍しますので、導入を検討の際はぜひ、御相談ください。