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組織人事課題

ジョブローテーションとは?導入効果を高めるために、目的やメリット・デメリットを理解しよう

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退職代行サービスが普及する時代下において、退職へのハードルが低くなりつつあることも事実です。実際に「離職の意向を示す従業員」との話し合いすら実現しないケースもあり、人事課題の解決に向けた行動が必要とされています。人事課題解決に向けた行動の1つとして、ジョブローテーションの採択が挙げられます。

とはいえ、ジョブローテーション制度について、メリットやリスクを正しく理解する人も少ないのではないでしょうか?

そこでこの記事では、ジョブローテーション制度のメリットやリスクを紹介すると同時に、導入方法についても解説します。

ジョブローテーションとは?

ジョブローテーションとは、従業員のスキル・能力の底上げを実現すべく、計画的な配置異動によって従業員に多様な部署・ポジションを経験させるシステムです。日本では旧来より採択されている手法であり、従業員や組織の可能性を高め、組織の活性化に寄与する制度だといえます。

「ジョブローテーションは時代遅れ」といった意見も一定数において見受けられるものの、時代に即した手段を発見できる側面があるため、再び注目を集めています。

以前のジョブローテーションは、企業側に強力な決定権がある傾向にあり、決定内容に不満があっても、従業員は従わざるを得ませんでした。

しかし昨今では、時代の変遷を踏まえ、従業員それぞれの「立場や状況」「希望およびキャリアプラン」に準じたジョブローテーションを意識する企業が多い傾向にあります。

またジョブローテーションは、人事異動と混同されがちですが、双方には明確な違いがあります。人事異動は、組織ベースの考えであり、組織を主軸とし「従業員の配置異動・昇給・解雇」を実践する流れです。一方ジョブローテーションは、従業員の成長という従業員ベースの考えであり、従業員に合った部署移動や職種変更を実施します。

ジョブローテーションの目的

企業がジョブローテーションを実施する目的は、主に5つ存在します。

ジョブローテーションの採択を検討する場合には、自社の目的と「ジョブローテーション本来の目的・意図」が合致するかのチェックが大切だといえます。ジョブローテーションを実施する目的は、以下の通りです。

人材育成のため

企業ビジョンや掲げた目標を達成すべく、企業にとって役立つ人材を育てることは不可欠です。少子高齢化が進行し、人材確保が難しくなっている昨今において、既存社員を「どれだけ自社に適した人材に育成できるか」は、重要な課題だといえるでしょう。

人材育成によって、従業員を「企業が望む方向」へ導くには、多くの経験をさせる必要があります。ジョブローテーションは、計画的な配置転換によって部署やポジションを変更し続けるシステムであり、従業員に多様な場所で多くの経験をさせられます。

さまざまな部署・ポジションの経験によって、知識やスキルの習得に寄与し、柔軟性や幅広い視点を醸成できるでしょう。

従業員の自社理解を深めるため

従業員が自社理解を深めて仕事をすることは、業務の質を高めるうえで重要な要素です。企業ビジョンや文化といった自社理解を深めると、同じ仕事をする場合にも、すすめ方が変わります。

たとえば、成果主義で個人の裁量に任せる企業であれば、「重要な部分のみを企業に確認し、その他の作業は自身で判断・行動できる人」が求められます。一方、チームの連帯感を意識し、全員で企業を作り上げる文化の企業では、「都度の確認」や「仲間意識の保持」が重要です。

ジョブローテーションは、多様な部署の業務に携わるため、自社を全体的に理解する機会につながるでしょう。従業員に「自社理解を深めてもらう」ことを目的とし、ジョブローテーションを導入する事例も見受けられます。

適正に応じた人材配置を行うため

適材適所という言葉通り、人には得意不得意が存在し、本人に適するポジションも異なります。従業員の適性に応じた人材配置を実施すれば、個々の作業効率アップはもちろんのこと、チーム全体の生産性も高まるでしょう。

ローテーションせずに「1つのポジションを経験」するにとどまると、従業員の適性が「現在のポジションと適するか」について、なかなか判断しにくいことも事実です。ジョブローテーションによって異なる職種を複数において経験すれば、従業員・管理者における双方の目線から、従業員にとって「どのポジションが適正か」を判断しやすくなります。従業員に適した環境を用意できれば、本人のモチベーション維持や離職防止も期待できるでしょう。

属人化を防ぐため

同じ人物が、特定のポジションを長きにわたり続けると、特定業務の全容やすすめ方になりやすく「担当者しか知り得ない状況」が発生しがちです。

属人化が発生すると、担当者の急病や退職などの際に、第三者が業務を代行できない恐れがあります。

企業経営をスムーズにすすめるうえで、特定の人がいなくても「滞りなく業務をすすめられる状態」を用意することは重要です。

ジョブローテーションによって、さまざまな従業員が定期的に異なる業務を経験すれば、属人化を防止できます。担当者が急に休み、特別な事情で業務ができないといった事態になっても、第三者が代わりに業務を遂行できるでしょう。属人化を防げると、業務の全容が企業内に公開された状態になり、透明性の向上や不正防止にも役立ちます。

時間外労働の削減のため

時間外労働が増えれば、「従業員に支払う人件費」や「時間外労働時に使用した光熱費」も増えることから、時間外労働を減らしたいと考える企業は多いでしょう。

またワークライフバランスの提唱が叫ばれる昨今において、時間外労働をネックだと考える従業員も多く、残業や休日出勤が続けばモチベーションダウンや離職の引き金になり得ます。

ジョブローテーションを通じ、多くの従業員がさまざまな業務を経験すれば、時間外労働が発生する部署・ポジションに対するサポートが可能です。ほかの従業員が業務をサポートできれば、業務量の平準化も図られるでしょう。適正に合わない配置が「長時間労働」につながっていれば、配置転換を考えるきっかけにもなります。

こちらの記事もおすすめ:人事制度の見直しを図る必要性とは?

ジョブローテーションのメリット

ジョブローテーションは、「人材育成」「自社理解の醸成」「人材配置」「属人化の防止」「時間外労働の削減」を目的とし、実施するケースが多いとわかりました。

ここでは、企業がジョブローテーションを実施するメリットについて解説します。

従業員のモチベーション向上

さまざまな部署・ポジションで仕事を行うことで、常に業務内容や人間関係が変化するため、ローテーションが実施されるたびに新鮮な気持ちで過ごしやすくなります。

とくに「多様な経験をしたい」「日々に変化を求めたい」という従業員にとって、ジョブローテーションという仕組みは相性がよいでしょう。得意・苦手も含め、多様な仕事に関わることから、充実した気持ちで取り組みやすくなります。さまざまなミッションを遂行すれば、達成感を味わえるため、モチベーションも高まる傾向にあるでしょう。

ほかにも、複数の異なる環境・業務内容を通じて、自分に適した内容を把握でき、新たな可能性を発見するケースも見受けられます。

組織の柔軟性が向上

ジョブローテーションを実施すると、組織の流動性に対応しやすく、組織全体の柔軟性向上に寄与します。たとえば従業員の退職・休職・解雇などが発生すれば、人材が不足した箇所に対し、適切な人材を配置する必要があるでしょう。

新規事業開発や業績アップによる事業拡大といったプラス要因で人材が必要になった場合にも、配置転換や新たな採用など、組織体制の変更が求められます。

ジョブローテーションを実施していれば、急な退職や休職が発生しても、迅速な配置変更が可能になるでしょう。また新規事業開発や事業拡大においても、自社内の優秀な人材を選定するなど、スムーズな配置につながります。

部署間の連携が取りやすい

事業計画やタスク内容によっては、今まで接点のなかった部署の従業員同士で、交流する必要性に迫られることがあります。とはいえ、一から関係を構築すれば、その分において時間がかかるでしょう。関係性が構築できている段階から交流する方が、圧倒的に作業効率もよいといえます。

企業として常日頃からジョブローテーションを採択していれば、異動した従業員がパイプ役となり、通常では接点のなかった部署やチーム同士であっても連携を取りやすくなるでしょう。異なる部署間において、連絡をスムーズ実施できれば、その分において業務効率も高めやすくなります。業務効率が高まれば、凝縮した仕事が可能となり、売上増や業績アップも期待できます。

ジョブローテーションのデメリット

ジョブローテーションには、「従業員のモチベーション向上」「組織の柔軟性アップ」「部署間のスムーズな連携」といったメリットがある一方で、デメリットが存在することも事実です。

ジョブローテーションで考えられる主なデメリットは、以下の通りです。

職員のストレス増加

ジョブローテーションで異なる部署・ポジションを担当すれば、多様な仕事に挑戦するチャンスに恵まれます。活動的で挑戦心にあふれる従業員にとって、ジョブローテーションは「魅力的な取り組み」だといえます。

一方で、「変化を好まない従業員」や「適応力が少ない従業員」は、ジョブローテーションの実施をストレスに思う可能性も否定できません。

新たな人間関係の構築や、異なる仕事の習得などでプレッシャーを抱え、場合によっては休職や退職といった事態に陥るケースになり得ることも考えられます。

また「現在の仕事や部署が気に入っている」と現状で満足する人にとって、チームメンバーや業務内容の変更は、望むものではありません。ローテンションによって結果的に満足度が低くなれば、ストレスを抱える可能性があります。ストレスを抱えた状態で業務をすすめると、生産効率の低下やミスの発生も考えられるでしょう。

一時的な生産性の低下

新たな部署・ポジションに配置されると、チームの雰囲気や仕事内容に慣れるまでは、右往左往することもあるでしょう。以前のポジションでのやり方が身についているため、リセットしたうえで、新たな内容を取り入れる必要があります。

人間関係もチームによって特徴が異なるため、新たなチームの傾向を理解するまでに、一定時間が必要です。配置された従業員が「仕事内容を把握」し「人間関係の構築」ができるまでは、一時的な生産性の低下も考えられます。

新たに配置された従業員だけではなく、従業員の教育担当者も、本来の業務以外に時間を作る必要があるでしょう。教育担当者の業務負担が増え、チームの生産性も低下すると、ジョブローテーションに反感を覚える人も出てくる可能性があります。

ジョブローテーション直後は、新たなチームメイトの近くに「ベテラン社員」や「育成に長けた人物」を配置するなど、生産性の低下を抑える配慮も必要です。

運用コストが高い

ジョブローテーションを実行する際には、実現に向けた計画および、計画実行後の調整など、多くの労力がかかりコストが高くなることが考えられます。ジョブローテーション実現に向けた計画では、従業員の適性を把握したうえで、誰をどこに配置するといった選定作業が必要です。

企業は「従業員の適性判断」「現場と移動先への交渉」「異動案の作成」など、多くの運用コストがかかります。対象者をピックアップしても、現場もしくは移動先の担当者が「NO」を出せば、そのまま計画を実行するわけにはいきません。とくに、異動してしまう従業員が優秀であれば、現場が必死に阻止するでしょう。話し合いから始まり、折り合いがつかなければ、新たな対象者を選ぶなどの措置が必要です。

無事に対象者と移動先が決まった場合には、計画実行に向けた異動案を作成します。異動案の内容も、「社内規定に反するか」や「チームメイトの能力に偏りはないか」など、チェックすべき項目が多数存在します。

会社・従業員双方に効果的なジョブローテーションを導入するためには?

会社と従業員双方にとって効果的なジョブローテーションを導入するためにはどのようなポイントに意識すると良いのでしょうか。

物事には必ずメリット・デメリットがあるものの、実行する際には、メリットが大きくデメリットの少ない方法を選びたいものです。ジョブローテーションにおいても、同様です。

会社・従業員双方に効果的なジョブローテーションを導入するための、3つのポイントを詳しく見ていきましょう。

実行前に体制を整え適宜研修や目的の共有を行う

ジョブローテーションを実行する目的について、実行前に現場の社員も把握しなければ、失敗に終わる可能性があります。

~ジョブローテーション目的となり得る内容~

  • 人材育成
  • 自社理解の醸成
  • 適切な人材配置
  • 属人化の防止
  • 時間外労働の削減

「(自社として)ジョブローテーションを実施する目的」を周知させれば、ローテーションで一時的に生産性が低下した場合にも、一定の理解を得られるでしょう。

目的を共有できていなければ、「企業都合でローテーションをさせられたうえに、チームの作業効率が低下している」といった不満が出る可能性もあります。ジョブローテーションに対する抗議が出たうえに、非協力的な態度になるかもしれません。

ジョブローテーションを実施する際には、実行前に適切な体制を整えることが大切です。整備した体制内容を、各現場の上長に共有し、理解してもらえるよう説明するとよいでしょう。

またジョブローテーションを成功させるうえで、適切な研修を随時実施することも重要です。異動者を不安にさせないよう、異動者に向けたサポート体制も整備するとよいでしょう。

ローテーションする人材の性格や得手不得手を理解する

ローテーションする人材の性格や得手不得手を理解することも大切です。

従業員全員をすべての部署に配置させるよう、万遍なく部署・ポジションを経験させるケースも見受けられます。

しかし、絶対的に苦手なポジションに配置すると、職員のストレスを増加させる可能性があり、良くない結果を招く恐れもあるでしょう。たとえば、技術やスキルに定評があるものの、初対面の人との会話が苦手なエンジニアを「営業部門に配属する」などです。

絶対的に苦手な「初対面の人との会話」を、日々において必要とするポジションに配置されれば、常にストレスにさらされることになるでしょう。頑張って営業職をこなそうとするものの、不得意な部分に自身の努力が追い付かず、身が持たなくなった結果として退職を考えるかもしれません。

そのため、無条件にローテーションを実行するのではなく、人材の性格や得手不得手を把握したうえで、あまりに適性が合わない部署・ポジションは外すように心がけましょう。企業が「性格や得意・不得意を考慮」していなければ、ジョブローテーションのデメリットが目立つ結果になる可能性もあります。

実施後のサポート体制を整える

ジョブローテーションを実施した結果、仕事やチームに馴染めず、1人で悩みを抱え込むケースも見受けられます。

「自分はこの業務に向いていない」や「チーム内での居心地が悪い」などと思いつめ、解決策を見いだせなかった場合には、次回のローテーションを待たずに辞めてしまうこともあるでしょう。退職までには至らなかった場合にも、従業員のモチベーション低下によって業務の生産効率が落ち、チーム全体の生産性ダウンにも直結する可能性があります。

会社・従業員の双方にとって効果的なジョブローテーションを導入するには、実施後のサポート体制も整備することが不可欠です。サポートの実施では、困りごとや悩みに対する定期面談の開催がおすすめです。

また、「異動前」と「異動後」の部署において、部署のトップ同士で情報共有することも重要だといえます。従業員に異変が起きた際にも、事前の情報共有ができていれば、問題を最小限に食い止められるでしょう。実施後のサポート体制が整備されていれば、それだけでも従業員の不安解消につながります。

ジョブローテーションの導入は慎重に計画しましょう

ジョブローテーションは、適切に導入すれば、企業と双方の両者にとってメリットがある制度です。とはいえ、導入方法が不適切だと、メリットが半減する可能性もあるでしょう。

そのため、ジョブローテーションの導入は慎重に計画することが大切です。

ジョブローテーションを正しく導入するには、「目的の明確化」「従業員の同意を得る」「教育プログラムの充実」といった、各種の制度設計が求められます。

運用には多くのコストがかかる傾向にあり、社内人材の負担を軽減したい場合には、経験が豊かなコンサルタントや外部人材の活用を検討することが大切です。豊富な経験から、自社に合った最適な方法の提案や適切なコンサルティングが期待できます。

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人事課題の解決策として「ジョブローテーション」の導入を検討する場合には、適切な内容の採択が重要です。

ジョブローテーションに限らず、人事課題を解決するには、状況に応じたベストな方法を見極める必要があります。自社内のリソース不足が懸念される場合には、外部人材やコンサルタントの導入を推奨します。また外部人材やコンサルタントを選ぶ際には、実績が豊富で信頼できる組織を選ぶことが大切です。

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