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社外取締役の報酬はどう決める?相場や考え方を解説

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近年、日本の上場企業を中心に社外取締役を設置する企業が増えています。社外取締役とは、取引や資本関係のない社外から招いた取締役のことです。社内以外の人材が意思決定に関わることで、利害関係に囚われない任務の遂行ができます。

社外取締役を迎える場合、社内の役員同様に役員報酬の決定が必要です。こちらでは、社外取締役の報酬の相場や金額の考え方などを紹介します。日本の企業においても需要が高まる社外取締役の報酬の概要を把握しましょう。

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社外取締役の報酬(役員報酬)とは

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社外取締役を企業内に設置する場合、役員報酬を決める必要があります。しかし、年収や給与をどのように決定すればよいかと悩んでいる方も多いでしょう。こちらでは、役員報酬の相場や平均、形態、決め方について紹介します。

報酬の相場・平均

経済産業省が2019年11月~2020年1月に行った、東証一部・二部上場企業の全社外取締役を対象としたアンケート調査によると、年間報酬額は600~800万円未満が最多で、全体の21.5%という結果でした。

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※引用➀:経済産業省のデータとなります。引用元は文末に記載しております。

また、大手コンサルティングファームの「デロイト トーマツ コンサルティング合同会社」が2022年度に行った調査によると、東証プライム上場企業の社外取締役の年間報酬総額は中央値で840万円と発表されています。これは、東証一部時代を含めて5年連続の上昇となりました。

※出典➀:デロイト トーマツ グループからの出典なります。出典リンクは文末に記載しております。

対象が上場企業のみの調査結果ではありますが、社外取締役の報酬水準は上昇傾向にあるといえるでしょう。しかし、中には無報酬で受けている方もいます。無報酬で業務を行う理由としては、社外取締役の経歴がなく経験を積むことを目的にしているといったことが挙げられます。

報酬の形態

日本における社外取締役の報酬は、基本的には固定報酬が採用されます。欧米では、業績報酬や株式報酬といったインセンティブが設けられることも多いですが、日本企業においてはほとんど採用されていないというのが現状です。

固定報酬には、役位ごとに一律の報酬が発生する「シングルレート」と、取締役員は月100円~110万円、執行役員は月90~100万円など役位ごとに一定幅で金額幅を設ける「レンジレート」の2つの方法があります。

シングルレートは報酬額を役位ごとに明確化できることがメリットです。レンジレートは報酬額に柔軟性を持たせ、客観性を担保できるメリットがあります。

社外取締役の報酬の決定方法

外部の方にお願いする社外取締役の報酬も、ほかの役員と同様に会社法や法人税法によって定款、もしくは株主総会の決議で決定することが定められています。主な流れとしては、株主総会の決議で総額を決定し、その後の報酬委員会や取締役会で個別の報酬額を決定するのが一般的です。

先述したように日本の社外取締役の給与は固定報酬としている場合が多く、監査委員との兼任であっても報酬金額は変わりません。

社外取締役の報酬決定におけるポイント

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社外取締役の報酬を決定する際は、後述する4つのポイントを押さえておきましょう。報酬額を決める際は、社内取締役やその他役員の報酬とのバランス、知識、スキル、前職や本職の給与、業務範囲や責任などを考慮する必要があります。

社内取締役の報酬額とのバランス

現在の日本において、社外取締役はあくまで取締役の業務執行の監督役であり、経営や業務執行の中心は社内取締役であることが多い傾向です。こうした背景からも、社内取締役や役員と社外取締役の報酬額のバランスを考慮する必要があります。

実際の経営や業務執行のほとんどを社内取締役が担っているにもかかわらず、実務の少ない社外取締役のほうの報酬が高くなってしまえば、社内から不満の声が挙がる可能性もあるでしょう。社内取締役や従業員のモチベーションを維持するためにも、不満が出ないような適正な報酬額の設定が求められます。

求める知見・スキル

社外取締役の報酬を決定する際は、他業種での経営の経験で得た知見やスキルにおいて、どのようなものを期待するのかを考慮しましょう。希少価値やレベルの高い知見・スキルであればあるほど、企業間の獲得競争が激しくなるため、高額な報酬を設定する必要があります。

たとえば、会社の経営に対して適切なアドバイスや監督を行う必要がある社外取締役は、企業の戦略や財務状況、業界の動きなどに関する知識が重要です。そのため、適切な意思決定をするにあたっての知見やスキルが高い場合には、報酬のアップを検討する必要があるでしょう。

前職や本業での収入

社外取締役の他に本業を持っている場合や、前職で大きな功績を残している場合、そちらで得ている収入を考慮する必要があります。

たとえば、税理士や弁護士、公認会計士など高度な知見を要する資格を保有している場合は、本職での給与を考慮して報酬額を決める必要があるでしょう。反対に社外取締役としての経験が浅いもしくはない場合、経験を積むために行うことも考慮して、通常より報酬の水準を下げたり、無報酬で担ってもらったりすることもあります。

業務へのコミット・責任

社外取締役に対してどの程度の関与を求めるのかによっても報酬額は変動します。たとえば、経営や業務執行のほとんどを社内取締役や役員が担っている場合、社外取締役の拘束時間は少なくなるでしょう。

反対に、積極的に経営へ参加してもらう場合、拘束時間は長くなり、責任も大きくなります。そのため、報酬を決定する際は、コミットする業務量や拘束時間、責任領域などを考慮しましょう。

社外取締役の報酬に関してよくある疑問

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社外取締役の設置において、多くの方が疑問に感じる内容を紹介します。社外取締役の確保を検討している方はぜひ参考にしてください。

中小企業と大企業で報酬の相場は変わる?

中小企業のみを対象とした社外取締役の報酬額相場の調査データが公表されているわけではありません。しかし、冒頭で紹介した経済産業省のアンケート調査は、上場企業を対象としたもので、以下のような結果も出ています。

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※引用②:経済産業省のデータとなります。引用元は文末に記載しております。

企業規模が大きいと社外取締役の報酬額も高くなる傾向であることがわかります。

前述の通り、報酬額は知見・スキルやコミットの範囲によっても変わってくるという前提はありますが、中小企業が任せる社外取締役の報酬額は、企業規模の大きな大企業よりも低くなる傾向といえるでしょう。

報酬なしで社外取締役を置くケースはある?

社外取締役の役員報酬は無報酬にすることも可能です。実際に、経営者としての経歴が浅い方が、経験や経歴獲得のために無報酬で就任するケースもあります。ただし、当然知見やスキルがある人には相応の報酬を支払う必要があります。また、高い能力を活かした経営参画を求めて社外取締役を設置するのが本来の形ではあるため、何を目的として社外取締役を置くのかを念頭に置いて精査することが大切です。

まとめ 社外取締役の報酬

社外取締役を依頼するにあたっての役員報酬の相場や形態、決定までの流れ、金額を決める際のポイントなどを紹介しました。上場企業における社外取締役の役員報酬は、600~800万円未満であることが多いですが、中には無報酬で設置する場合もあります。報酬金額は、知見やスキル、前職や本職での収入、業務範囲などを加味して決定しましょう。

お問合せはこちら

※引用➀:経済産業省|社外取締役の現状について(P34)
 引用②:経済産業省|社外取締役の現状について(P35)
 出典➀:役員報酬サーベイ(2022年度版)』の結果を発表|ニュースリリース|デロイト トーマツ グループ|

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