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新規事業に利用できる「補助金」や「助成金」の種類や概要を解説【計画的な資金計画】

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新規事業を立ち上げるにはコストがかかります。また長期的な見通しを立てるためにも資金計画が欠かせません。資金調達の方法はいくつかありますが、もし時期や条件が当てはまる場合には、補助金や助成金の活用がおすすめです。補助金や助成金は返還自体が不要なため、費用面の負担を抑えて事業が推進できます。

ただし、補助金や助成金は、公募のテーマが異なるうえ、申請しさえすれば必ず受給できるとは限りません。補助金や助成金の特徴を知り、最新の情報をもとに自社の効率化を図りましょう。本記事では、新規事業開発に利用できる主に「補助金」の種類について紹介します。(2024年1月現在)

まずは「補助金」と「助成金」の違いを押さえよう

補助金とは、特定の事業を行うことをサポートするために給付されるお金のことです。一般的に返還が不要のため、資金力に限りのある企業が新規事業を立ち上げる際にはぜひ有効活用したい仕組みです。

また、新規事業に関する支援制度には、補助金のほかに「助成金」もあります。それぞれの特徴を以下で紹介します。

項目補助金助成金
目的新規事業の支援や
地域振興、公益につながる事業の促進
雇用や労働環境の改善
主な管轄経済産業省、中小企業庁厚生労働省
給付額数百万円〜数十~数百万円
受給のしやすさ要審査要件を満たせば
受給可能
公募期間数か月など短期通年など長期

補助金は経済産業省や中小企業庁が管轄し、新規事業の支援や地域振興、公益につながる事業の促進を目的としています。補助金の給付額は高額な場合もありますが、申請後に必ず採択されるとは限らず、受給の難易度が高い傾向があります。

一方、助成金は主に厚生労働省が管轄し、雇用や労働環境の改善を支援するために提供されます。受給要件を満たせば、原則的に受給ができることが多いでしょう。助成金の給付額は補助金と比べると少額となる傾向があり、最大でも数百万円程度です。

助成金について詳しくはこちら:新規事業立ち上げに欠かせない助成金の種類と獲得のポイント

新規事業開発に利用できる補助金の種類

補助金

ここでは新規事業開発に利用できる補助金(一部助成金)を簡単に紹介します。補助金や助成金は、各々の目的に応じて対象となる事業の内容、割合などが定められています。申請期限や申請内容など要件が細かく定められているため、最新の情報を確かめることが重要です。これらの制度をうまく活用して、効率的に新規事業を立ち上げましょう。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が働く際の生産性向上を目的とした業務効率化やDX推進に向けて、ソフトウェア、アプリ、サービスなどのITツールを導入する際に受け取れる補助金です。補助金は以下のような目的で使用できます。

  • 業務自動化・効率化
  • 労働時間短縮・省人化
  • 管理強化
  • 販路拡大

IT導入補助金2024では、支援枠が改編されてインボイス制度への対応と受発注機能を備えたITツールの導入を支援し、中小企業・小規模事業者などの受注者には無償提供される補助金制度が追加されました。そのほか、補助率の拡大や補助対象ITツールの見直しが行われています。

IT導入補助金の種類

IT導入補助金には種類があり、それぞれ補助額、補助率、対象経費により支援枠と類型が異なります。そのため、補助金を申請する際にはどの枠・類型に該当するのかの確認が必要です。

IT導入補助金2024の種類や補助対象経費

  • 通常枠(A・B類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • 複数社連携IT導入枠
  • セキュリティ対策推進枠

※参考資料a

利用対象事業者

IT導入補助金の補助対象となる事業者は、主に中小企業と小規模事業者です。以下表のように、対象となる企業には資本金や従業員の制限があります。

業種・組織形態資本金常勤従業員
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業
※ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く
5,000万円100人
小売業5,000万円50人
※参考資料b・c

「IT導入補助金」の申請期間・スケジュール

IT導入補助金2024の初回公募スケジュールは下記のとおりです。申請できる期間を複数設けている枠もあるため、詳細は公式サイトでご確認ください。

通常枠

  • 締切:2024/3/15 17:00
  • 交付決定:2024/4/24
  • 事業実施期間:交付決定~2024/10/31(予定)
  • 事業実績報告期限:2024/10/31(予定)

インボイス枠(電子取引類型)

  • 締切:2024/3/15 17:00
  • 交付決定:2024/4/24(予定)
  • 事業実施期間:交付決定~2024/10/31(予定)
  • 事業実績報告期限:2024/10/31(予定)

インボイス枠(インボイス類型)

  • 締切:2024/3/15 17:00
  • 交付決定:2024/4/24(予定)
  • 事業実施期間:交付決定~2024/10/31(予定)
  • 事業実績報告期限:2024/10/31(予定)

複数社連携IT導入枠

  • 締切:2024/4/15 17:00
  • 交付決定:2024/5/27(予定)
  • 事業実施期間:交付決定~2024/11/29(予定)
  • 事業実績報告期限:2024/11/29(予定)

セキュリティ対策推進枠

  • 締切:2024/3/15 17:00
  • 交付決定:2024/4/24(予定)
  • 事業実施期間:交付決定~2024/10/31(予定)
  • 事業実績報告期限:2024/10/31(予定)

※参考資料d

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が生産性向上を図り、ものづくりや商業、サービス分野における企業の発展を支援するための補助金制度です。複数の「枠」「類型」があり、公募ごとに募集される枠や類型が異なるため、公募要領をよく確かめる必要があります。

14次、15次、16次では、通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠での募集が行われました。17次公募は「省力化(オーダーメイド)枠」が対象で、18次公募では「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」となる予定です。

【ものづくり補助金(17次)の概要】

  • 助成(申請)対象者:中小企業、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者
  • 助成対象期間:2024/3/1 17:00
  • 助成対象経費:ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用して生産工程の自動化を図るために事業者の個々の業務専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)
  • 助成限度額:従業員数により変動
  • 助成率:中小企業は~1,500万円 1/2・1,500万円 ~1/3、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は~1,500万円 2/3・1,500万円 ~1/3

※参考資料e・f

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が制度の変更等に対応するために販路開拓等を行う際に受けられる補助金です。

小規模事業者は、赤字やウクライナ情勢や原油価格高騰などの社会情勢、災害などの影響を受けやすいため、経費の一部を補助することで、生産性向上と持続的発展が図れます。

補助対象となる事業には「販路開拓または販路開拓と組み合わせた業務効率化を目的に、経営計画に基づいて行う」「商工会議所または商工会の支援を受けながら取り組む」などの要件があります。

また、補助額が上乗せされる特別枠があります。具体的な内容は年度や地域によって異なるため管轄地域の募集要綱の確認が必要です。

【小規模事業者持続化補助金(第15回)の概要】

  • 助成(申請)対象者:小規模事業者(業種ごとに従業員数規定あり)
  • 申請受付締切:2024/3/14 17:00
  • 助成対象期間(第15回受付締切分):交付決定日から2024/10/31まで 
  • 助成対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会、商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費
  • 助成限度額:通常枠50万円、賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠200万円(インボイス特例対象事業者は50万円上乗せ)
  • 助成率:2/3(一部3/4) 

※参考資料g

創業助成金

創業助成金とは、創業予定または創業から間もない中小企業者に対して、経費の一部を助成する制度です。起業する方向けに地方自治体が実施する助成金で、各都道府県や市区町村ごとで、それぞれの名称が若干異なります。新規事業の立ち上げにも利用可能で、創業を計画している地域の助成金が受給可能です。

東京都中小企業振興公社の創業助成金の場合は、以下のとおりです。

【創業助成金(東京都)の概要】

  • 助成(申請)対象者:都内での創業を具体的に計画している個人または創業後5年未満の中小企業者等で、一定の要件を満たす方
  • 助成対象期間:交付決定日から6か月以上最長2年
  • 助成対象経費:賃借料、広告費、器具備品購入費産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費
  • 助成限度額:100~300万円
  • 助成率:2/3以内

創業助成金は、申請者数が年々増加していて、採択率は13%程度と比較的狭き門です。しかし助成限度額が100~300万円と、企業によっては調達が難しい額が助成される可能性があります。なお、創業助成事業について詳しくは公式サイトや動画配信サイトを参照してください。

※参考資料h・i

大企業でも利用できる補助金はある?

大企業

補助金や助成金は中小企業向けとして公募されることが多くみられます。大企業の場合、新規事業構築などで資金が必要になると、銀行から融資を受けるケースが一般的です。しかし、融資は返済が必要なので、企業の負担になることも少なくありません。

実は、一定の条件に当てはまる企業は「みなし大企業」として、中小企業者に該当することがあるのです。中小企業基本法上に「大企業」「みなし大企業」の規定はありませんが、各々個別の補助金や助成金ごとに規定されている場合があります。例えば、創業助成金の場合、みなし大企業とは以下の条件に当てはまる法人です。

みなし大企業の例(創業助成金の場合)

  • 申請を行った法人に対し、単一の大企業が発行済株式総数の1/2以上を所有または出資総額の1/2以上を出資
  • 申請を行った法人に対し、複数の大企業が発行済株式総数の2/3以上を所有または出資総額の2/3以上を出資
  • 役員総数の1/2以上を大企業の役員・職員が兼務
  • その他、大企業が実質的に経営に参画していると考えられる場合

もし自社が「みなし大企業」に当てはまる場合、補助金や助成金の申請が可能です。具体的な条件は年度や種類ごとに異なるため、対象外だと思っていた補助金が対象になる場合があるかもしれません。詳しい要件は各公式サイトをご確認ください。

【「みなし企業」が申請できる補助金の例】

  • 事業承継
  • 引継ぎ補助金

【「みなし企業」が申請対象外の補助金の例】

  • IT導入補助金 ※一部「大企業等」も申請可能
  • ものづくり補助金
  • 創業助成金

新規事業において、計画的な資金計画が必要です

事業計画,資金計画

資金計画は、事業の安定性と成長の可能性を高めるのに必要となる事業計画の一部です。正確な支出と収入の予測により、予期せぬ財務上の問題に直面するリスクを減らすことができます。また、短期的な資金繰りに注意を払うことで、日々の事業運営にかかる資金に窮することなく、安定したキャッシュフローが維持できます。

新規事業の立ち上げ前後にかかる費用の例

  • 開業資金:事務所・店舗取得費、設備導入・改装費、備品・用品購入費、広告宣伝費、商品の仕入れ費用など
  • 運転資金:固定費(人件費、家賃、水道光熱費、支払利息、減価償却費、設備リース料など)、流動費(原材料費、仕入れ原価、販売手数料、消耗品費など)

一方、長期的な視点で資金計画があれば、長期的な計画を構築することで、数年後の売上目標やマーケティング戦略の明確化に役立ちます。将来を見越して資金の配分が検討できるのです。

さらに、資金計画があると、投資家や金融機関からの信頼を得やすくなります。つまり、将来的な資金調達や融資の機会を広げることにもなるのです。

事業構想、事業計画のフェーズからご支援可能です

新規事業開発に利用できる補助金や助成金には、IT導入補助金やモノづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、創業助成金などさまざまなものがあります。

中小企業や小規模事業者向けのものが多い傾向ですが、なかには大企業との関連が深いみなし大企業でも申請できるものもあります。まずは自社の事業が公募内容に当てはまるかについて、最新の情報を確認してみましょう。

「資金計画が上手く立てられない」「プロセスの具体的なスタート方法が不明確」「適切なコンセプト設計が難しい」など、もし自社の事業を進めるなかで不安を感じる場合には、各課題に十分な知識と経験をもった専門家のアドバイスを活用することがおすすめです。

パソナJOB HUBが展開する「JOB HUB顧問コンサルティング」の「新規事業支援サービス」では、さまざまな分野の専門家が多数在籍しています。2,500社以上の豊富な実績をもとに、貴社のニーズに合った経験豊富な専門家をご紹介します。

具体的なサポートを受けることで、より効果的にビジネス戦略の構築を行いましょう。

詳しくはこちら:新規事業支援サービスサービスのご案内

※参考資料a:経済産業省|「IT導入補助金」でIT導入・DXによる生産性向上を支援!
※参考資料b:IT導入補助金2023(前期事務局)|補助対象について
※参考資料c:IT導入補助金2023(後期事務局)|補助対象について
※参考資料d:【IT導入補助金2024】 公募スケジュール
※参考資料e:全国中小企業団体中央会|ものづくり補助金総合サイト
※参考資料f:ものづくり・商業・サービス補助金事務局|ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.2版
※参考資料g:商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局|小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募 公募要領全国商工会連合会|小規模事業者持続化補助金<一般型>第 15回公募 公募要領
※参考資料h:東京都中小企業振興公社|創業助成金
※参考資料i:(動画)東京都中小企業振興公社|「創業助成事業について」

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