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会社法における取締役とは?経営リスクを減らすために知っておくべき法的な義務を徹底解説!

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中小企業から大企業に至るまで、取締役には企業の成長やリスク管理に直結する重要な役割と責任があります。

この記事では、会社法に基づく取締役の定義、役割、責任、選任手続き、義務違反時のリスクまでを包括的に解説し、経営リスクを軽減するために必要な法的知識を提供します。

企業のリーダーが果たすべき役割の理解を深め、実践的な対応力を養いましょう。

目次

会社法における取締役とは?

会社法において、取締役は会社法上、意思決定と業務執行の監督を担う重要な役職として定義されています。

取締役は、企業運営の中心的な役割を果たし重要な責務を担うため、深い経営理解とリーダーシップが求められます。

会社法における取締役の役割と責任とは

取締役の役割を正しく理解することは経営リスク軽減につながります。

会社法では、取締役に以下の3つの主要な役割が明記されています。

業務方針の決定

会社の運営方針を策定し、具体的な目標や戦略を示します。

他の取締役の職務遂行の監督

他の取締役が適切に職務を果たしているかをチェックし、全体のバランスを維持します。

代表取締役の選任・解職

組織のトップである代表取締役の選任や解任を行います。
取締役はこれらの役割と責任を果たしながら、企業価値の向上や経営リスクの軽減に努めます。

会社法で定められる取締役の3つの義務とは?

取締役には、会社法で以下の3つの法的義務が定められています。これらを遵守することで、会社の信頼性向上と経営の安定化を図ることができます。

取締役の義務を果たすために具体的にやるべきことを確認しておきましょう。

1. 善管注意義務(会社法330条、民法644条)

善管注意義務は、取締役が「善良なる管理者」としての注意をもって職務を遂行する義務を指します。
この義務は会社法第330条で定められ、民法第644条の「受任者の注意義務」が適用されます。

取締役は職務に必要な専門的知識を活用し、経営判断の過程で慎重に対応することが求められます。

2. 忠実義務(会社法第355条)

取締役は、会社法第355条に基づき、法令、定款、および株主総会の決議を遵守して忠実に職務を遂行しなければなりません。

会社の利益を最優先に考え、個人的な利益や第三者の利益ではなく、会社に忠実に行動する義務です。例えば、利益相反取引を避ける必要があります。

3. 報告義務(会社法第357条)

会社法第357条に基づく取締役の報告義務は、会社の取締役が取締役会に対して、業務執行に関する重要な情報を適時に正確に報告することを求めるものです。

この義務により、取締役会は適切な意思決定を行い、会社の透明性を確保します。

報告内容には、業務の進捗状況や成果、法令違反やリスクの有無、取締役会で必要となる重要な事実が含まれます。報告義務を怠ると、取締役は責任を問われる可能性があります。

取締役の設置義務をより深く理解するには、以下の記事も参考になります。

こちらの記事もおすすめ社外取締役の設置義務について詳しく解説!対象企業や必要な人数も併せて押さえよう

取締役の義務違反によるリスクとは

損害賠償責任

義務違反が原因で会社や第三者に損害を与えた場合、取締役個人がその損害を賠償する責任を負います。

刑事責任

不正行為や重大な過失がある場合、会社法や他の法律に基づき刑事罰(罰金や懲役)を科される可能性があります。

これらのリスクを避けるため、取締役は法令や規則を遵守し、慎重に職務を遂行する必要があります。

義務に違反したら企業はどうしたらいいの?


取締役は、会社の利益を守るために法律で定められた義務を負っていますが、これに違反した場合、企業は適切な対応を取ることが求められます。
違反内容によってリスクや損害が異なるため、それぞれに応じた対策を講じることが重要です。

以下で、「善管注意義務違反」「忠実義務違反」「報告義務違反」のケースに分けて具体的な対応策を解説します。

1. 善管注意義務違反の場合

取締役が善管注意義務を怠った場合、企業は迅速に調査を実施し、具体的な事実関係を確認する必要があります。

その上で、違反が認められる場合には、損害賠償請求を検討します。
また、再発防止策として、ガバナンス強化や監査体制の見直しを行いましょう。

さらに、取締役会の議事録作成や業務報告の徹底を通じて、取締役の職務遂行状況を常時モニタリングする仕組みを導入することも重要です。

2. 忠実義務違反の場合

取締役が忠実義務に違反し、会社に損害を与えた場合、まずは内部調査を実施し、第三者委員会の設置も視野に入れた対応を進めます。

必要に応じて、該当取締役の解任や法的措置(損害賠償請求)を行います。

同時に、コンプライアンス意識の強化を目的とした教育プログラムを実施し、企業全体で法令遵守の徹底を図ることが再発防止策となります。

3. 報告義務違反の場合

重大な事実を隠蔽または報告を怠った場合は、速やかに社内調査を行い、株主や関連当局に適切な対応を報告する必要があります。

また、報告義務の履行を明確化するために、内部規程の整備や報告フローの可視化を行います。

違反した取締役に対しては、警告や解任手続き、場合によっては法的措置を検討し、組織内の透明性を確保するための体制を強化しましょう。

取締役の選任方法とは(どこでどうやって選ばれる?)

取締役は、どこでどうやって選ばれるのでしょうか。
ここでは取締役の選任方法と選任条件について詳しく解説していきます。

取締役の選任は株主総会で決定

取締役の選任は、株主総会で行われます。株主総会は、会社の最高意思決定機関であり、株主が経営陣を選ぶ場です。

株主は会社の経営を信頼して任せられる人を選ぶため、取締役候補者に投票します。

複数名選任する場合もある

取締役は1人でも大丈夫ですが、会社の規模が大きい場合には複数の取締役が選ばれることが一般的です。

取締役の選任の条件(どんな人が選ばれる?)

取締役には、以下のような基準や条件が求められます。

法的な条件

日本では「満18歳以上」であれば誰でも取締役になることができます。特別な資格や試験は不要です。

ただし、過去に破産したり、犯罪歴がある場合など、法律で制限されている人はなることができません。

経営スキルや適性

株主は取締役候補者が以下を満たしているかを評価します。

  • 経営経験:取締役候補者が過去に経営や管理業務に携わった経験。
  • 適合性:会社の事業内容や経営方針に適したスキルや知識を有しているか。
  • 法令遵守の姿勢:取締役に求められる高い倫理観と責任感を備えているか。

取締役の任期(どれくらいの期間働く?)

取締役は、どのくらいの期間働くのでしょうか。
原則期間はありますが例外もあるため、詳しく確認しておくことが大切です。

ここでは取締役の任期について詳しく解説していきます

原則:2年

日本の会社法では、取締役の任期は「原則2年」と定められ、最後の事業年度の定時株主総会が終結するときまでです。

これは、株主が定期的に取締役の業績や行動をチェックできるようにするためです。

例外:任期を延ばせる場合もある

非公開会社(株式を市場で公開していない会社)では、定款を変更することで、任期を最長10年まで延ばせます。

これは、小規模な会社などで、頻繁な選任手続きを省略したい場合に活用されます。

取締役の再任のルール(任期が終わったらどうなる?)

再任される場合

任期が終わった取締役は、株主総会で再び選ばれることで引き続き取締役を続けることができます。

再任されない場合

株主総会で再選されなければ、任期が終わった時点で取締役の職務は終了します。これは、取締役に常に緊張感を持たせ、会社の経営の質を高めるためです。

こちらの記事もおすすめ社外取締役の役割とは?効果を得るための適切な人材の選び方を解説

会社法における「取締役会」とは?

取締役会は、代表取締役と取締役によって構成される組織です。

会社法では、取締役会は企業の重要な意思決定を行う場と位置づけられています。
経営方針の策定や業務の遂行について、取締役全員が意見を交換し、企業運営の方向性を決定する重要な役割を担っています。

ここでは、取締役会の重要性や取締役の役割などについて解説します。

取締役会の開催とその重要性

取締役会は、主総会で選任された3名以上の取締役で組織されていて、大企業や一定の要件を満たす企業には、取締役会の設置と定期的な開催義務があります。

取締役会では、以下の意思決定が行われます。

  • 経営方針や業務方針などの意思決定
  • 代表取締役や監査役の選任
  • 代表取締役の選定・解職
  • 取締役の職務執行の監督

例えば、M&Aや新規事業の展開など大きなリスクを伴う判断を行う際には、取締役全員の意見が求められ、その上で慎重に決定されます。また、株主や利害関係者に対する説明責任を果たす手段としても活用されるなど、重要性は非常に高いです。

また、取締役会には、社員や内部統制システムの評価、外部監査の報告などを踏まえて、企業の透明性や信頼性を確保する役割もあります。

特に株主に対する説明責任を果たすためには、取締役が自らの意見を述べて他の取締役とも議論を重ねることが求められます。

取締役会における代表取締役と取締役の役割の違い

会社法によれば、代表取締役は、法的に企業を代表する立場にあり、取締役会での決定事項を忠実に実行することが義務付けられています。

取締役は、代表取締役が適切に業務を行っているかを監視し、経営方針についての助言を行う役割を担っています。

代表取締役、取締役どちらも善管注意義務や忠実義務、損害賠償責任、法令遵守義務などがありますが、外部との契約や交渉で過失があり第三者に損害を与えた場合に、責任をとる義務があるのは代表取締役だけです。

取締役会に「社外取締役」が必要とされるのはなぜ?

取締役会には社外取締役が含まれる場合が多く、一定の条件下で社外取締役の選任が義務付けられています。

「社外取締役が、なぜ取締役会に必要とされるのか」主な理由について、具体的な例を交えて、わかりやすく説明します。

経営の透明性を高めるため

社外取締役は、企業内部の人間ではなく、外部から独立した立場で経営を監視します。これにより、内部での偏った意思決定や不正行為を防ぎ、経営の透明性を高める役割を果たします。

:経営陣が過剰なリスクを取ろうとした場合、外部の視点で冷静に議論を促します。

客観的な意見を提供するため

社内の取締役だけでは、内輪の意見に偏りがちです。一方、社外取締役は外部の知識や経験を持ち込み、客観的かつ多角的な視点を提供します。これにより、より質の高い意思決定が可能になります。

:市場の変化や顧客の視点を踏まえた新しい戦略提案が期待されます。

利害関係者の信頼を得るため

社外取締役の存在は、企業が外部の意見を積極的に取り入れ、開かれた経営を行っている証拠となります。これにより、株主や投資家、取引先などの利害関係者の信頼を得ることができます。

:株主総会での議論が活発化し、企業価値向上につながる。

法令遵守(コンプライアンス)の強化のため

社外取締役は、企業が法令や社会規範を守るように監視する役割も果たします。特に内部の取締役が気付きにくい法的リスクや倫理的問題に対して、第三者の立場で指摘しやすいのが特長です。

:内部取締役が見逃したリスクを事前に指摘し、不祥事を未然に防ぐ。

社内の牽制機能を強化するため

社外取締役の存在により、経営陣は不適切な行動ができなくなります。これを「チェック・アンド・バランス」の機能と呼び、ガバナンスの要として機能します。

:経営陣が特定の取締役に権限を集中させようとした場合、これを防止する役割を果たします。

社外取締役を選定する注意点

取締役会で社外取締役が必要とされる理由が多い一方で、選定に際しては慎重な判断が必要です。

まず、経験や専門性、人柄などを考慮して、社外取締役が本当に企業にとって有益な視点を提供できるかを見極める必要があります。

また、選定の際には利益相反がないか確認し、公正な意見が出せるかの確認も重要です。

例えば、取引先や競合企業と密接な関係にある人を選任すると、適切なガバナンスが確保できないリスクが生じます。

さらに、社外取締役が企業の内部事情を正確に把握できない場合、判断ミスや意思決定の遅れを引き起こす可能性もあります。

社外取締役の役割を適切に発揮させるためには、取締役会において透明性のある情報共有を行い、意見を述べやすい環境を整えることが大切です。

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会社法において、取締役の経営判断の正確さが企業の成長に直接影響します。
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