COLUMN
新規事業

「大企業の新規事業開発」失敗理由から導き出す"成功させる秘訣"とは?

シェアする

今や中小企業に限らず、安定性を有する「大企業」でも、積極的に新規事業開発を進めるケースが増加しています。時代の変遷が激しい昨今では、製品やサービスの需要サイクルも短縮化し、市場のニーズが絶えず変化している点も影響しているでしょう。

しかし、大企業だからといって新規事業開発が成功する保証はなく、大企業ならではの失敗理由も存在します。そこで今回は、大企業の新規事業開発における失敗理由から導き出す「新規事業開発を成功させる秘訣」について紹介します。大企業の経営者様や新規事業開発担当者様は、ぜひこの記事をお役立てください。

「大企業ならでは」新規事業が失敗するときの主な理由

大企業

大企業は多くの優秀な人材や潤沢な予算を有する傾向にあり、中小企業やベンチャー企業と比較すると、新規事業開発で優位な印象をもつ人は多いでしょう。しかし冒頭で伝えた通り、大企業だからといって新規事業開発が成功する保証はなく、「大企業ならでは」の失敗理由も存在します。

大企業の新規事業開発担当者が「自社は大企業なので新規事業の成功率も高いだろう」と考える場合には、落とし穴にはまる可能性があります。そのため、新規事業開発における「大企業ならでは」の失敗理由を念頭に置いたうえで、新規事業開発に取り組む必要があるでしょう。大企業が新規事業開発を失敗する主な理由は、以下の通りです。

巨大で制約のある組織風土

大企業は、従業員数や関係部署の多さはもとより、複数の階層を有した構造が特徴的であるため、巨大で成約のある組織風土になりがちです。成約のある組織風土は、新たなアイデアが創出された場合にも、実行に至るまでに時間がかかる傾向にあります。なぜなら、アイデアを実行するまでの間に、それぞれの階層における「承認」や「考査」に多くの作業や時間を要するからです。ベンチャー企業やスタートアップ企業であれば、アイデア創出から実行までのサイクルが短い傾向にあるため、こうした企業から後れをとる可能性があります。

また、大企業では、会社のトップが新規事業開発に意欲的であっても、トップに至るまでの段階でアイデアが止まるケースもあるでしょう。新規事業開発の成功には、緻密な審議や検討も必要なものの、時間をかけすぎてしまうと環境の変化に追いつかない可能性があります。アイデアを生み出したタイミングでは、成功確率が高かった内容も、時間が経過し市場のニーズが変化すれば、状況が変わる可能性も否定できません。また、巨大で制約のある組織風土では、しばしば組織内での競合・嫉妬心といった「社内政治的な問題」も生じがちです。社内政治的な問題で、新規事業開発が円滑に進まなければ、有益なアイデアが水の泡と化す可能性もあるでしょう。

既存事業の枠にとらわれすぎている

新規事業は不確かな部分が多く、収益モデルも未確立な状態です。また新規事業で立ち上げた製品やサービスが、既存内容より劣った結果、低評価を恐れる企業も多いでしょう。低評価による「社員のモチベーションダウン」や「既存事業への悪影響」を危惧するケースも見受けられます。

そのため、既存事業で成功経験がある大企業では、新規事業を実施する際に、既存事業の枠組みで物事を捉えがちです。新規事業にもかかわらず、既存事業のノウハウ・成功例・失敗例などで物事を考えすぎてしまうと、イノベーションの創出や飛躍に制限をかけてしまう可能性があります。

とはいえ、既存事業のノウハウ内に、新規事業で活用できるポイントもあるでしょう。大切なのは、既存事業の要素から「有用なポイント」と「それ以外のポイント」を区別し、適切に判断することです。新規事業には、既存事業に正解のない部分があることも念頭に置きながら、行動するとよいでしょう。

経験のある人材が不足している

大企業には優秀な人材が集まりやすく、人的リソースが豊富なため、新規事業開発をスムーズに進められる印象をもつかもしれません。しかし、優秀な社員と新規事業開発の適任者は、イコールではないのです。特に大企業では、堅実な社員が採用される傾向にありが、堅実で優秀な社員であっても、新規事業開発で必要とされる「イノベーション能力」「周囲を巻き込む力」「企画立案力」などが不足する場合もあります。

また、新規事業開発で必要な能力は、実際に新規事業の成功経験を有することで、身につく要素でもあります。多くの社員を有する大企業であっても、新規事業開発の経験者や適任者が不足すれば、失敗する可能性が高まるでしょう。経験者が不足していれば、新規事業に対して「どこから手をつけたらよいかわからない」や「どういった部分に注意して進めるべきか判断がつかない」などと悩むため、多くの時間や労力を要してしまいます。

大企業が新規事業を成功に導く取り組みや手段

取り組み,手段

先述の「大企業ならでは」の新規事業が失敗する主な理由を踏まえ、大企業が新規事業を成功に導くべく、必要な取り組みや手段を解説します。

新規事業を成功させるために必要な「一般的な方法や手段」については、以下の記事の中で大企業の新規事業開発に携わる方にも、役立つ内容が掲載されています。ぜひご参照ください。

新規事業開発とは?進め方や成功のポイント、必要なスキルを解説

新規事業を立ち上げるために、成功者が実践する7つのステップとポイント

ここからは大企業に焦点を当て、新規事業を成功させるために、より注力するべき取り組みや手段を紹介します。

経営層や他部署と密に連携をとる

先述した通り、大企業では人材が潤沢である反面、部門間や経営層などに対し一定の壁が存在することも事実です。その大企業特有の壁を踏まえ、課題解決に向けて行動するには、部署やポジションにとらわれず、経営層や他部署とのコミュニケーションを密に行なう姿勢が不可欠です。新規事業開発のキーパーソンや関係者と日頃から情報交換を実施したり、キックオフ以前の打ち合わせから同席してもらったりすることで行動を起こす際に、スムーズな議論が実現し時間を有効に活用することができるでしょう。

アイデアを生み出す段階から、適切なコミュニケーションがとれると、ポジションを越えたディスカッションが実現し、より高品質なアイデアを創出できます。

独立した部門を立ち上げ、スピードを加速させる

大企業は、それぞれの階層において承認などのプロセスを要するため、スタートアップ企業やベンチャー企業と比較すると、新規事業開発の展開速度が遅くなりがちです。

そのため、大企業が新規事業で成功を目指すには、意思決定のプロセスにおけるスピード感不足の解消が不可欠です。スピード感不足を解消するには、新規事業開発への迅速な歩みを実現する「小規模で独立した部門」の設置が推奨されます。独立している関係上、他部門からの承認プロセスなどの影響を受けにくく、部門内でスピード感のある素早い行動を実現しやすくなります。

また独立部門には、新規事業開発に知見がある人材の配置が必須です。とはいえ、独立部門を設置したうえで、知見のある人材を配置することは、現実的に難しいケースも多いでしょう。新規事業開発に長けた人材の配置が難しい企業は、外部人材をとり入れたうえで、社内の限られたリソースを効果的に活かす戦略を展開しています。

直面する課題に対応できる外部人材を活用する

前段でお伝えした通り、新規事業開発に携わる独立部門を設置したうえで、新規事業開発の成功経験をもつような外部人材の活用が有益です。そのうえ、自社が直面する課題に関し、適任といえる顧問やコンサルタントの選定が不可欠です。

なぜなら、新規事業開発の成功体験者であっても、得意な分野は異なるからです。大手企業における新規事業開発の知見と、自社の課題解決に必要な知識を兼ね備えた人物を導入することで、新規事業開発の成功度が飛躍的に向上します。

とはいえ、大手企業での新規事業開発の経験と、自社の課題解決に必要な知識が兼ね揃う人物を探すことは、非常に難解な課題でしょう。適切な人材探しに時間を費やせば、その分において新規事業開発への着手が遅れます。新規事業開発の成功度合いは、スタートダッシュの速度も関係します。

その際は、紹介サービスなどを活用すれば、自社に最適な人材をスムーズに選出してもらえるため、効果的な支援が期待できるでしょう。

貴社に適したプロ人材を柔軟にご紹介:JOB HUB 顧問コンサルティング

【成功事例】仮説検証が加速し、検討効率を大幅向上させる結果に

成功事例

ここからは、求める外部人材の導入によってビジネススピードが加速し、成長へと導いた成功事例を紹介します。事例として取り上げさせていただくのは、日本の大手化学メーカーである帝人株式会社様です。

背景・課題

新規事業開発の部署を立ち上げたものの、社内に新規事業への知見をもつ専門家が不足しており、事業開発のPDCAサイクルがうまく機能しない状況。背景には、大企業が陥りがちな「大胆な戦略をとりにくい」「レピュテーションリスクヘッジに多大な時間を要する」などの要素が散見されました。

大企業で豊富かつ優秀なリソースを保持する一方で、「新規事業開発に詳しい人物が存在せず、事業が思うように進まない」などと、帝人株式会社様の他にも同様のジレンマを抱える大手企業は多く見受けられます。

対応策

新規事業開発が停滞する状況に危機感を覚えた帝人株式会社様は、課題解決に必要な知見をもつ人材の導入を試みます。依頼する人材に対し重視した点は、企業のなかで新規事業を生み出す苦しみを理解し、共に解決策を考え適切な対応が講じられることです。

当初はあくまで人材採用を考えていたものの、JOB HUB顧問コンサルティングを展開するパソナJOB HUBの営業担当者が現状の様子や悩みを適切に理解し、課題解決に即した的確な顧問を紹介したことが決め手となり、外部人材の導入を決断されました。

結果

新規事業開発に関わる複数のメンバーや企画単位で、1on1形式での顧問による壁打ちを行いました。この取り組みにより、ビジネスアイデアが洗練され、新規事業開発チーム全体の底上げが実現しました。新規事業において成功経験や前例が乏しいなかで、舵を取る顧問の存在は、チームメンバーにとって心の支えであり、道しるべとなっていました。

成功の要因

新規事業開発における特につらい内容であり、失敗要因にもなり得る要素は、自分たちが「正しい方向に進んでいるか?」について判断がつかなくなること。帝人株式会社様では、顧問による支援を通じ「社内では得られない視点」が加わったため、ネクストアクションや現状における優先順位が明確になり、効率的な新規事業開発が実現しました。チームメンバーを常に適切な道へと誘導し、正しい視点を保持できるよう努める存在がいた事実は、大きな成功要因だといえるでしょう。

帝人株式会社様の事例について詳しくはこちら:仮説検証が加速し、検討効率が大幅に向上

まとめ

大企業

大企業の新規事業開発を成功させるには、「大企業ならでは」の失敗要因を踏まえたうえで、成功に導く取り組みや手段を実行することが大切です。

大企業は承認のプロセスに時間を要する傾向があり、その分、新規事業開発の進行が遅くなるケースも見受けられます。スピード感不足の解消には、新規事業開発の独立部門を設け、知見を有する人材の配置が必要です。新規事業開発の成功体験を有し、自社の課題解決に必要なスキルを保持する人物が社内に存在すればよいものの、両者を兼ね備える人物が存在するケースは稀でしょう。

新規事業開発でお悩みのご担当者様へ

新規事業開発の成功には、経験や知見のある人物の配置がマストです。また「大企業」での新規事業開発の成功経験を有し、大企業ならではの強みを活かす方法や、既存ビジネスとの調和も図りつつ新規事業開発を展開できる人物が好ましいでしょう。新規事業開発に長けた人物であれば、市場の変化を意識した「ビジネスアイデアの創出」も期待できます。

社内に適任者が存在しない場合には、外部人材の活用を推奨します。一からリソースを育成する必要もなく、採用によるミスマッチなどのリスクも最小限に抑えられるため、新規事業を効率的に進められるでしょう。

新規事業開発において社内のリソース不足を感じた場合には、豊富な人材から自社に適したプロを紹介するJOB HUB顧問コンサルティングの「新規事業支援サービス」がお勧めです。人材のご提案はもとより、役員クラスへのアプローチ段階からのサポートも可能です。外部人材について気になる方は、問い合せフォームから担当者へお気軽にお問い合せください。

無料のご相談はこちら:問い合わせフォーム

キーワード検索

カテゴリー

人気の記事

キーワードから探す

関連するコラム

CONTACT

各種ご相談・お問い合わせは下記よりお願いいたします。